弁護士の回答に怒り出す相談者
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2015.5.15mf
法律相談を受けた際、弁護士の回答が自分に不利な内容(あるいは都合が悪い内容)だと、怒り出す相談者がいます。紹介者がいない、
弁護士会とか、
区役所での法律相談で多いケースです。下記のような例があります。
相談者が怒り出した例
- 離婚の際の親権者についての相談がありました。父親から、親権者について相談を受けた弁護士が、「子供が幼い場合、親権者には、ほぼ、母親が指定されます」と答えました。この回答を聞いて、父親は、「不公平ではないか」と弁護士に対し、怒り出しました。
- 結婚後、夫が色弱であることが判明し、離婚問題まで発展したケースがありました。妻(初婚、42歳)が弁護士に、「どのくらいの慰謝料を認められるか」と質問しました。弁護士が、「色弱という身体障害を理由では、慰謝料は認められないかもしれません。仮に慰謝料が認められても、少額ですね」と答えたところ、相談者と同行の母親が、怒り出しました。
- 紛争の相手方の弁護士についての苦情を 弁護士会 の苦情相談に持ち込むケースが、よく、あります。
相手方の弁護士ですから、他方の当事者にとって不利な行動をするのは、当然です。
ところが、そのような回答を弁護士会の担当者から聞いた相談者は、怒り出しました。相談者は、弁護士会の事務局まで行き、相談担当の弁護士の名前を尋ね、「訴えてやる」と怒鳴っていました。
- 労働問題相談で、時々、見られるケースです。解雇された(女性の)相談者が、初めからイライラしていて、相談担当の弁護士に食ってかかる光景がありました。傍で見ていて、仕方なく解雇した会社の苦悩がわかるような感じがしました。解雇された労働者は、気持ちが不安定になりますが、落ち着いて相談をする必要があります。
- 80万円くらいを請求する裁判で、「前の弁護士が辞任した」と、弁護士会に、苦情を言って来た相談者がいました。相談に乗った弁護士が、「前の弁護士はなぜ辞めたのですか」と尋ねると、相談者は、不機嫌になりました。
着手金の説明の際、弁護士が、「このくらいの金額だと、少額裁判ではないですが、弁護士は、報酬が少ないので、面倒になって辞めたのでは」と説明すると、相談者は、「この裁判は意地でやっているのであり、お金ではないのだと」言って、徐々に怒り出しました。
「弁護士がお金のことに言及するのは、意地が汚い、弁護士はお金に言及すべきではない」との独特の考えを持っているようでした。
弁護士の立場
相談を受ける弁護士としては、次のような配慮が必要です。- まず、相談者に、言い分を、十分、話してもらうのです。不満なことも話してもらうのです。法律相談においては、これは重要です。時間が無駄でも、途中で口を挟むのは禁物です。
- その後、相談者に説明する際、
弁護士は、相談者にとって不利な内容の回答をするときは、事前に、「よい回答でなくて、申し訳ないのですが、聞いてくださいね」等と前置きして回答するといいですね。それでも、怒り出す相談者はいます。
法律が、当事者の一方(弱者)を保護している場合があります。借地借家法における地主、労働基準法における雇主、離婚における夫に対し、法的
な説明をする場合、注意すべきです。
弁護士が、丁寧に回答しても、怒り出す相談者がいます。これは、まさにモンスターです。無用なトラブルを避けるために、弁護士は、言葉遣いに気をつけるべきでしょう。
最近、弁護士に対する苦情が増えています。弁護士に問題がある場合もあります。しかし、最大の理由は、弁護士数が増え、依頼者層が従来より広範囲に広がったことが主な原因と推測できます。
弁護士としては、率直に回答すれば、いいのですが、気をつけて無用なトラブルを避ける方が、より賢明です。
相談者の立場
- 相談者としては、弁護士が自分の味方になってくれないと、相談したり、依頼できないとの気持ちは、よく理解できます。しかし、弁護士が、自分に不利な回答をした場合、その意味をよく考えるべきでしょう。相談者に、法律上不利な点があるのです。相談者に迎合して、調子の良いことを回答する弁護士は危険です。
以上とは、逆ですが、相談に応じている弁護士が怒り出す例があります。
弁護士に、特権意識があり、「相談にのってやっている」と思っているのです。その場合は、事務局に伝えて、担当弁護士を変えてもらってください。事務局も、だいたい、事情を理解していて、別の弁護士に変えてくれます。
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