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2022.11.15mf更新
妻に全財産を相続させるとの遺言の場合遺言執行者が必要ですか
弁護士河原崎弘
相談:遺言執行者が必要ですか
私は、妻(後妻)と2人暮らしです。
子供(先妻との間の子)は成人しています。今、遺言を書いています。
全財産を妻に与える予定です。遺言執行者を決めておくと、
遺言執行が迅速にできると聞いています。
私の場合、遺言執行者を決めておく方がよいですか。
回答
遺言と遺言執行者
遺言に執行を必要とする場合は、遺言により遺言執行者を指定するか、あるいは、家庭裁判所に、遺言執行者選任の申立てをし、遺言執行者を決めると、
遺言執行が迅速にできます。
遺言の
執行とは次のようなことです。
遺言執行者がいない場合、遺言執行には、法定相続人全員の判が必要です。若干、面倒です。
遺贈と遺産の分割方法の指定
遺贈と遺産の分割方法の指定には、少し違いがあります。
遺言書中に、「・・・を、・・・・・に、遺贈する」と、書くと、これは、遺贈となります。この場合は、遺言執行者を指定しておくと便利です。
しかし、相続人に対しては、
「・・・を、・・・・・に、相続させる」と、書けば、これは、遺贈ではなく、遺産分割方法の指定であり、
相続として扱われ、不動産の場合、登録税率が低く
、(その不動産を相続する)相続人単独で登記できます(遺言執行者が不要 )。ちょっと奇妙ですが、
これが、実務です。
奥さんは相続人ですから、あなたの場合、遺言状の中に、「私の全財産を、妻○○○子に、相続させる」と、書けば、遺言執行者は不要です。
最近は、法務局の扱いでは、「与える」、「やる」との文言は、相続されると同じように扱われます。
実際の 遺言状 を参考にしてください。
遺言執行者には、
弁護士が指定されることが多いです。
受遺者を遺言執行者に指定、選任することもできます。本件のような包括遺贈の場合でもそうです。受遺者を遺言執行者に指定すると、自動車の名義変更の場合便利です。
判例
- 最高裁判所平成7年1月24日判決(出典 判例時報 1523-81 )
本件遺言により上告人に本件各不動産の遺贈があったとは解されないとした原審の判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができる。原審の
適法に確定したところによれば、本件遺言は、本件各不動産を相続人である上告人に相続させる旨の遺言であり、本件遺言により、上告人は小野保治の死亡の時に相続に
より本件各不動産の所有権を取得したものというべきである(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号477頁参照)。
そし
て、特定の不動産を特定の相続人甲に相続させる旨の遺言により、甲が被相続人の死亡とともに相続により当該不動産の所有権を取得した場合には、甲が単独でその旨の
所有権移転登記手続をすることができ、遺言執行者は、遺言の執行として右の登記手続をする義務を負うものではない
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