弁護士に断られた少額裁判

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2017.12.26mf


苦情

なぜ、法テラスの法律相談は、金持ちの依頼を受けて、扶助が必要な人には、弁 護士が、話を聞くだけで、弁護を引き受けないのですか。
ひどい話です。2回も相談に行って、最初の弁護士は、「裁判をしたら勝てる」とまで 言っていましたが、「慰謝料は、少ないので少し考えてみたら」と言われました。
私が、「裁判をしたい」と告げると、弁護士会館の場所と電話番号を教えてくれましたが、相談 の時間は終わっていました。翌日、弁護士会館に問い合わせると、「相談した弁護士から連絡がないと駄目」とのことでした。
また予約をして相談を受けると、違う弁護士でした。そこで、相談をして、「訴えを起こすので、どうすればよいか」と聞いてみると、弁護士は、「ここは、相談するところだから、何でここに来た」と、追い返されました。
窓口で、今までの経過を説明すると、「弁護士の先生と法律扶助の話をしないと進まない」と の返事でした。
再度、扶助申請の話を致しました。弁護士は、文句タラタラ、弁護士会館に電話をしておりましたが、この弁護士、「僕は、受けないよ、他でしてもらって」と言いました。この弁護士は、金にならないと思う と、相談も、ろくに聞かず、手続きもしない。貧乏人をバカにしないで下さい。

説明

弁護士が裁判を引き受けるのは、勝訴の見込みがあり、依頼者にマイナスにならない場合でしょう。法テラスで扶助を受ける場合も勝訴の見込みがあることが条件となります。
勝つ見込みが低いとか、 請求金額が少ない場合(例えば、50万円以下の場合)の訴訟は、引受ける弁護士を見つけることは困難です。少額の解雇予告手当てを請求するとか、男性が婚約不履行の慰謝料を請求するとか、敷金の返還を請求する場合などです。
小さい金額の事件は、依頼人の受ける利益の中で弁護士費用の占める割合が大きくなるので、依頼人の不満も大きいです。このような依頼人は、事件の相手方に対する不満のはけ口として、今度は、弁護士に不満をぶつけてきます。
弁護士としても、大事な時間を使うのですから、有益な仕事をしたいのでしょうし、依頼者は裁判で請求する金額以上の弁護士費用を支払いたくないでしょう。
この苦情の場合は、男性が請求する、婚約不履行に基づく慰謝料などの事件ではないかと想像します。

訴訟では、最低次のような時間を要します。

裁判に要する時間表
訴状作成の打ち合わせ2時間
訴状作成2時間
裁判所へ出頭1回1時間30分、合計10回、15時間
上記準備1回1時間、合計10回、10時間
尋問実施4時間
上記準備3時間
合計36時間

弁護士は、事務職員の手も借りますし(給料を負担する)、事務所の家賃も負担します。合計36時間(最低時間であり、実際は、さらに時間を要する)を要する事件処理を、最低額の着手金10万円、報酬10万円で、引受けるのは、なかなか、難しいです。
しかも、少額事件は、依頼人の得る利益が小さい割には弁護士費用の割合が高いので、依頼人から、苦情が出る確率が高いです。依頼人から苦情が出て、トラブルになると、弁護士は、その対応のために無駄な時間がとられるのです。

それでも、ほとんどの弁護士は、親しい知人とかの関係で、あるいは「気の毒」などの理由で、安い費用で引受けた事件を持っています。しかし、そのような事件を増やすと、事務所がうまく運営できなくなることも事実です。

事件当事者としては、 引受け手の弁護士がいない場合は、弁護士に相談しながら、本人訴訟 をすることが原則でしょう。
2004.8.23
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