Web上で知り合った人にお金を貸した場合の回収方法

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Last updated 2015.6.10mf


相談
さて、私の相談内容なのですが、Web上で知り合った人に、お金を貸しました。彼は会社をやっていて、資金繰りがすごく困っていて、「 5 日間だけかして欲しい。最悪でも 1 か月後の給料の支払いの時に必ず返すから」、ということで、最初貸しました。昨年の年末のことです。
何度も会ったり、「オフ」等もしていました。本名しか知らず、一応貸すときに免許証を見せて欲しい」と言ったのですが、「今、持っていない」と言われ、相手の現住所はわかりません。今、どこにいるのかも、わかりません。
最初は、会社の名前の入った小切手をわたされたのですが、その後その会社は倒産し( 3 年間期間をおいて、再建することに債権者会議で決まったと本人は言っていました)、そのときに、私は、「小切手は不渡りになりますよね?」と言って、個人の名前と住所(本人は自分の本籍だと言っていました)捺印の入った借用書に換えてもらいました。

会社の倒産前後に、彼は、「今日振り込む」とか、「車が売れたら返す」と言い、「車が売れた」という話もあったのですが、全く返済はされませんでした。
その後、多少の返金はされたのですが、現在は携帯電話に連絡をしても、無視を決め込み、返済も滞っています。彼は、同じWeb上の知り合いの一部に時々連絡がある人もいるので、私は、明らかに無視されています。また、彼は、Web上の人に次々とお金を借りて、返済しないまま無視する状態になっている様子もあります。
  1. このような状況なのですが、私としてはどうしたら貸金を回収できますか。
  2. 会社の倒産(のような状態)と、個人的な借金の返済との関係はどうなるのでしょうか。
  3. その人への貸しているお金は、私が代わりにキャッシングしていて、利息も含めて返済してもらうことが了承されているのです。現在のところ借用書には貸した元の金額しか書いてありません。その場合の借用書というのはどうなるのでしょうか(利息制限法との兼ね合いなど)
  4. 弁護士さんを頼まないとダメなのでしょうか。
  5. 知り合いに弁護士さんはいないのですが。
回答
  1. まず、相手の住所、氏名を調査することから始めなければなりません。共通の知り合いに聞くなりすることができると簡単ですね。プロバイダにメールアドレスを言って尋ねても教えないでしょう。
    電話会社でうまく振舞って電話番号から住所、氏名を調べた人はいましたが、これは例外です。携帯電話の番号から電話会社に尋ねても、住所氏名は教えてもらえないでしょう。
    平成22年1月までは、弁護士に依頼し、弁護士が電話会社に対して、弁護士法23条の2に基づく照会をすると、住所、氏名はわかりました。平成22年2月からは、電話会社は、この照会にも応じなくなりました。
    車の登録番号がわかるなら陸運事務所で登録事項を調べると住所がわかります。 会社名と、会社の所在地がわかるなら、 法務局 (登記所)で商業登記簿謄本を取ると代表者(社長)の住所は記載されています。料金は 1000 円です。
    以上ができない場合は、 借用書 に書かれた住所が本籍のようですので、本籍地の役場から戸籍の附票を取り寄せることで、その人がその本籍に居る間の全部の住所がわかります。
    それでも、相手の住所がわからないなら詐欺で告訴して警察に調べてもらうほかないでしょう。
  2. あなたが彼個人に貸したのなら、会社の倒産は関係ありません。
    会社に貸したのなら、借主は会社ですから、通常は、彼個人は責任ありません。しかし、本件は詐欺のような感じがしますので、彼個人が不法行為責任を負っています。
  3. 利息を含めて返してもらうことを前提にキャッシングして、彼に貸した場合は、法律上、あなたのサラ金対する債務は、 利息制限法 の範囲内で存在し、彼のあなたに対する債務も同じ範囲内で存在します。
  4. 金額が多い場合、相手の住民票あるいは戸籍の附票をとる必要がある場合、相手と連絡できても相手が任意に支払わない場合は、弁護士に依頼した方がよいでしょう。
  5. 知り合いに弁護士がいない場合は、区役所法律相談窓口市役所法律相談窓口 (以上、無料)で相談するか、 弁護士会 で法律相談をし、弁護士を依頼 するとよいでしょう。
Web上での知り合い
Web上での知り合いと交際することは、問題ないですが、お金が絡むと別です。知り合ったばかりなのに、「金を貸してくれ」と言う、友人、恋人の品性は概して低いです。
人間の本性は善と言っても、人間には、良い心の外に、悪い心もあることは確かです。しかし、悪い考えを実行に移すことは大変なことで、その人の人格と環境の諸要素が力学的に決めるのです。
詐欺は誰でもできる犯罪ではありません。彼は、同じ行為を繰り返して一生を送る感じがします。悪を実行した人と傷つきながらも交際していく覚悟のない限り、交際は止めた方がよいでしょう。
登録 Aug, 29, 2000
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