夫が不貞をした場合の違約金支払い債務と破産

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2013.11.10mf更新
相談
私(32歳)には、妻(31歳)、子供(2歳)がいます。結婚して5年です。年収は、400万円です。
私は、不貞行為(浮気)をしました。妻は、興信所を依頼し調査し、私の不貞行為を知りました。
私は、妻の実家に呼ばれ、叱責されました。 妻の実家で、私は、謝りましたが、妻の父と妻に殴られ、誓約書(下記)を書かされました。


誓約書

〇〇 〇子 殿

私 〇〇 〇〇男は、次の通り誓約する。

私は、自己の不貞行為を認め、謝罪する
私は、自己の不貞行為の慰謝料、財産分与、養育費として、貴殿に対し、今後20年間にわたり分割で、合計金3000万円を支払う。
私が再度不貞行為をした場合は、慰謝料、財産分与、養育費として、上記金額の2倍を支払う。
前条の支払いを遅滞した者は期限の利益を失い、そのときの残金にそのときから年20%の割合による損害金を付加して支払う。
  2011年〇〇月〇〇日
     住所
     氏名                 


その後、一時別居し、同居しましたが、妻とはうまくいきません。妻は、また、興信所に依頼し、私を尾行しました。私は、軽い気持ちで、このときは、わざと、女性とホテルに入りました。このときは、私は、女性とは肉体関係を持ちませんでした。
妻は、怒り、今度は、家庭裁判所で離婚調停の申立をし、現在調停をしています。
妻は、私が「誓約書での約束を破ったから、再度の不貞だから」と言って、6千万円を請求しています。この念書は、有効でしょうか。夫婦の財産としては私(夫)名義の預金500万円あります。
自己破産をすれば、債務が免除されますか。

男性は、弁護士会を訪れ、法律相談を申し込みました。

回答
このような文書が、そのまま効力は認められにくいです。 殴られた状態で誓約書を書いたのですから、脅迫に基づく取消しを主張することができます(民法 96 条 1 項)。
さらに、3000万円が、適正に計算した慰謝料、財産分与、養育費の合計額から余りにも離れた金額(3倍を超える)なら、この契約は公序良俗に反し無効です。
さらに、誓約書を書いた際、あなたには、真実は支払意思がなかったとして、この種の契約は、心裡留保で無効 とも言えます。 破産法
他方、取消も無効も認められない場合は、破産法253条により、 自己破産申立をし、免責決定を受ければ、養育費、財産分与の一部を除き、債務が免責される可能性があります。
ただし、妻に対する暴力などがあると、「悪意の不法行為」に該当し、免責されません。
もちろん、養育費の将来分は、免責されません。しかし、妥当な金額を支払うという貴殿の希望には反しません。

結論として、第1に、「脅迫による取消し」、次に、取消に応じてもらえない場合は、「自己破産」すると、説明してください。 そして、慰謝料として300万円、財産分与としてと250万円(預金の2分の1)、養育費として月額5万円程度で調停を成立させるとよいでしょう。

判決

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