傷害事件の示談書の作り方

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2015.5.1mf更新
弁護士河原崎弘

示談をする意味

示談は、民事上の紛争を、裁判によらずに、当事者の間で解決することを言います。示談は、和解の1つです。
和解は、当事者が、互いに譲歩して争いを解決する、民法が定めた契約(典型契約、有名契約)の1つです。これが裁判外の和解です。示談も裁判外の和解の1つです。
なお、和解との言葉の意味は広く、裁判上で、当事者が譲歩して争いを解決することも和解といいます。これが裁判上の和解です。裁判上の和解は、判決と同じ効力があります。
ケンカ(傷害事件)などは民事事件の面と、刑事事件の面があります。刑事事件では、被害者の犯人(加害者)に対する感情が、検事の起訴、不起訴を決める際、および、裁判所が判決で刑を決める際の重要な要素になります。
軽い傷害事件では示談(民法695条の 和解 に当たる)が成立していれば、検事は不起訴処分にするでしょう。重大な事件でも示談の成立は情状として必ず刑を軽くするなどして、考慮されます。
犯罪の被害賠償をすると言っても、加害者は、資力がない、支払い意思がない、責任感がない人がほとんどです。そこで、示談の際、分割払いでは、支払いは期待できないでしょう。示談書作成と同時に全額支払ってもらう必要があります。
分割払いの場合、保証人を付けてもらう手もありますが。
支払いを怠った場合、 給料差押え などの強制執行ができるようにするには、 公正証書 、判決、裁判上の和解などにする必要があります。
2000年11月施行の 犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律 9条により、加害者が起訴されている場合は、被害者は、 刑事裁判手続きの中で損害賠償命令の申立てなどができます。裁判所は、審理し、損害賠償命令の決定をします。当事者は、この決定に対して異議の申立ができます。異議の申立がないと、決定は確定判決と同一の効力を生じます。

示談の手順

参考

交通事故の示談書

傷害事件の示談書の見本/書式:けんかで相手にけが(傷害)をさせた場合


示談書

〇〇〇〇を甲とし、〇〇〇〇を乙とし、甲および乙は、2011 年 2 月〇〇日、東京都港区虎ノ門 5 丁目〇〇番〇〇号先路上において、乙が甲に暴行し、傷害を負わせた件につき、次の通り示談する。

1乙は甲に対して、治療費、慰藉料、休業損害などの損害賠償として合計金 90 万円を支払う。
2甲は乙の前記行為を許すものとし、以後、被害届け、告訴などを出さない。

(注:既に 告訴 されている場合の例)

2

甲は乙の前記行為を許すものとし、直ちに、 告訴を取消す

3 本示談により本件に関する紛争が一切解決したものとし、甲は、以後何らの請求をしない。
4 甲乙間には本示談書に記載されたもの以外、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

2011 年 3 月〇〇日

住所  東京都港区 虎ノ門3丁目〇〇〇番〇〇〇号
(甲) 氏名  〇〇 〇〇   

住所 東京都港区〇〇町〇〇丁目〇〇〇番〇〇号
〇〇 〇〇法律事務所       
(甲代理人) 弁護士  〇〇 〇〇   

住所 東京都〇〇区〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
(乙) 氏名  〇〇 〇〇  


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