登山NO.0074 巻  機  山( 巻機山:1,967m ) 1998.8.1登山


 なだらかなピークの巻機山本峰( 1998.8.1 )

【巻機山登山記録】

【巻機山登山データ】

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再登山


NO.74 巻機山登山記録

会社の夏休みは 7月25日から 8月2日までの 9日間あったのだが、 この間に登った南アルプスが当初の目的を果たせず、光岳だけのピストン登山に終わったことで非常に欲求不満が残っていたため、 家族に我が儘を言って急遽夏休みの間にもう一度登山をさせてもらうことにした。
行き先は、まだ登っていない百名山を念頭に色々考え、結局 前日の天気予報を聞いて新潟県の 巻機山に決めたのだが、 登山日である 8月1日の朝午前3時半に起きてみると、何と外には小雨がパラついていたのだった。
近頃の天気予報の低的中率には呆れてものも言えないが、このぐらいの雨なら何とか問題なく登れそうに思えたし、 またあわよくば 「国境の長いトンネルを抜ければそこは快晴だった」 ということもあるかと思い、 思い切って出かけることにした。

朝の 4時に車で横浜の自宅を出発し、 すぐに横浜ICから東名高速道で用賀に向かい、用賀から環状8号線に入って練馬ICから関越自動車道に乗ったのだが、 途中 用賀から小田急線千歳船橋駅付近まで道路工事のため渋滞しているという誤算はあったものの、 ほぼ順調に進むことができたのだった。
天候の方は、相変わらず小雨が降っており、おまけに自動車道を進むに連れてガスが出てくるなど良い状況ではなかったのだが、 ラジオから聞こえてくる天気予報は相変わらず 「関東地方は曇りのち晴れ」と伝えていて、 気分が悪いことこの上ない状態であった。

それでも順調に自動車道を飛ばし、国境の長いトンネル (関越トンネル) を抜けると、 願い通り快晴とは言えないまでも、雲が多い中に青い空も見え、太陽も雲間から輝くなど、一応そこそこの天候となっていたのでようやく気持ちが明るくなり始めたのであった。
塩沢石打ICで高速道を降り、最初の信号を左折して直線道路を暫く進むと、やがて丁字路となったので、 標識に従って右折して291号線を清水に向かう。
いくつかの集落を過ぎて山間部に入っていくと、やがて左 巻機山の標識が見えてきたので左折し、 清水の部落に入って、バスの折返所から左折して山の中に入っていくことになった。

何の標識もなくやや心細くなった頃、キャンプ場直進、巻機山は右の標識が現れ、 やがて桜坂の駐車場へと着くことができたのだが、駐車場にはすでに 30台近くの車が駐車していた (7時7分着)

駐車場の端から登山道へ入ると、すぐに道は井戸尾根コースとヌクビ沢・割引沢のコースに分かれたが、 ここは当初の計画通り沢コースへと向かった。
道は、山間部の休耕田のような場所を通り、いくつかの山小屋風の建物の脇を抜けると、樹林帯に入っていくことになり、 やがて、白い標識が現れて道が 2つに分かれる場所となった。
標識には 「避難路→ヌクビ沢」 と書かれてあったが、朝早く起きたために頭がボーッとしていたのであろうか、 よく考えないまま右の良く踏まれた道に入ってしまい、これが大失敗であった。
左の道は途中で無くなっているように思えたからであるが、後から考えれば切れた様に見えたのは割引沢へと下っていたからに違いない。
この分岐のことは頭に入っていたはずなのであるが、本当にウッカリしていた。
道が違うと気づいたのは、かなり登って左下に沢の流れが見えてからで、さすがにこの高さまで進んでくると戻る気にはなれず、 仕方なく先に進むことにした。

道は結構急で、しかも下が濡れていて滑りやすく、やや息が上がってしまったものの、 つい先日登った 光岳に比べれば荷物も遙かに軽く、 天候も段違いに良いので、快調に飛ばすことができた。
徐々に高度を稼いでいくと、樹林の間からは天を突くように聳える天狗岩も見えるようになり、 また樹林帯を抜けて大きな石の上を歩く頃には雲も切れて太陽が照り始め、やがて沢音が大きくなってきたかと思うと、 ヒョイとヌクビ沢と割引沢の合流地点である落合に飛び出したのであった (8時01分着)

ここで、天狗岩を中心として左右に沢が分かれるが、 赤いペンキ印に従って (向かって) 右側のヌクビ沢を進み、 長い滝に沿ったナメた岩の上を鎖の補助を使いながら登っていった。
空は青く、太陽も頭上に輝いており、喉が乾けばすぐに水が飲めるし、何よりも涼しく気持ちが良いので、 道を間違えてしまって下の方から沢を登れなかったことが大いに悔やまれたのだった。
ペンキ印を伝って沢を右・左に渡り返しながら順調に登っていくと、再び沢が 2つに分かれるようになったので、 今度は向かって左にある沢へと進み、行者ノ滝の右側 (左岸側) を鎖などを伝って登り、滝の上部に飛び出した。

その先では、沢から離れた右岸の方にペンキ印が付けられていたのでそちらに進んだところ、 ガレた道を登り切ったところではるか右下に流れが見えるようになり、 途中、誤って足を滑らせれば下の谷へ真っ逆様といったような足場の悪い場所も 3ヶ所ほど見られた。
雨の日で滑りやすくなっている時は要注意である。
やがて再び沢に降り立つようになると、徐々に沢の様相も変化していき、周囲も草つきの斜面から、岩や赤い土がむき出しのガレた斜面に変わり、 沢も細くなってきた。

クネクネした沢を詰めていくと、やがて先の方に目指す尾根らしきものが見えてくるようになり、 沢の水も涸れるようになって、ついには沢を離れてガレた斜面に取りついて登っていくと、 周囲が草つきの斜面となって、すぐに稜線に飛び出すことができた (10時3分着)
しかし、残念なことに、天候の方は沢を詰めていくにつれて曇り始め、稜線上に着いた時にはガスが辺り一面を覆い始めていたので、 ほとんど展望は利かなかった (ただ、多くのトンボが出迎えてくれた)

まずは、道を左にとって 割引岳へと向かい、 10時9分に頂上に着いた。
割引岳の頂上は白い標識と祠があるだけの狭い所であったが、周囲を遮る物は何もないので、 ガスさえなければ素晴らしい展望を得られたに違いない。
20分ほど休憩した後、先ほどの分岐まで戻ったが、振り返ると一瞬ガスが晴れて形の良い三角錐をした 割引岳を認めることができた。

ガスの中をさらに先に進むと、道は木道となって草原の中を歩くような感じとなったが、 周囲にあまり花は咲いておらず、ガスが時々切れて前方斜め左に大きな山がかすかに認められようになったのがせめてもの救いであった (あれが牛ヶ岳であろう)
そして暫く山の斜面を回り込むように登っていくと、人々が憩っている御機屋 (オハタヤ) に飛び出した (10時38分着)
ここは今朝ほど右に見送った井戸尾根からの登山道が登り着くところで、眼下にはガスが薄れる中、 ニセ巻機山 (前巻機) とその手前に避難小屋を見ることができた。
御機屋にはどういうわけか 巻機山の標識が設置されており、 ここは 御機屋であると地図上では認識していたものの、 標識を無視するわけにもいかず、一応記念写真を撮ってからさらに先に進んだ。

ガスが切れたり、立ちこめたりする中、木道を進んでいくと、 やがて池塘が点在しているのが認められるようになり、目の前のなだらかなピークが本当の 巻機山だと思われたが、 それらしい標識を認めることはできなかった (ガスで見落としたのかも知れないが、 木道から逸れるような道はなかったような気がする)
緩やかなピークを一旦下ると、やがて木道も切れて笹原の中の道となり、所々ぬかるんでいて歩きにくい中を更に進むと、 朝日岳谷川岳へと続く縦走路の分岐を右に見て、 さらに先でガスの切れ間に 牛ヶ岳の大きな姿が見え始めた。

とはいっても、息を切らす間もなく頂上に到達できる程度の登りで、 登り着くと登山道上に寂しげに三角点と標識が置かれていた (10時59分着)
ややガスが晴れた中、周囲を見ると、この頂上よりも先の方に高く見える所があり、何か有るのかも知れないと進んでみたところ、 途中 池塘の傍らに小さな石の祠が認められ、さらにその先には東京農工大探検部の方の慰霊碑が置かれていた。
そこから道は下りとなっていたので、少々休んでから引き返そうとすると、不思議なことに先ほどこちらの方が高いと思ったのに、 こちらから見ると頂上のある方が高く見えるではないか。
なかなか面白い錯覚を経験させてもらった。

後は 御機屋まで戻り、井戸尾根を下るだけである。
丸太の階段を下り、木道を通って池塘の横を下っていくと、下り着いた所が先ほど 御機屋から見えた避難小屋で、 2階建てのなかなか立派な小屋であった (11時45分)
小屋からはこの日最後の登りとなる道が ニセ巻機山まで続いていたが、ほとんどが木道歩きで、 キツイことはない。
ニセ巻機山というのは 前巻機の俗称かと思われたが、 頂上には本当に ニセ巻機と書いた標識があり、狭い頂上には他に 九合目と書いた標識もあった。

少し平らな尾根を進んだ後は、下る一方で、丸太で作られた階段を下り、 やがて広い八合目を過ぎると溝のようになった下りが続き、草いきれで大変暑かった。
やはり、夏の登りは沢コースの方が涼しく、快適であろう。
ひたすら下ったが、七合目の途中や、また六合目の展望台からは上空にガスを有した天狗岩の姿を見ることができ、 登ってきた沢筋もハッキリ確認することができた。

四合目の標識を過ぎる頃から道は大変緩やかになったものの、 頂上からほとんど休まずに一気に下ってきたため、三合目の標識を見る頃には、まだこれから 二合目、一合目、登山口へと続くのかとウンザリしてしまうようになったのだが、 何と三合目の標識を過ぎるとすぐに林道となり、しかもそれからホンの少し先で今朝ほどの沢コースと井戸尾根コースの分岐点となって、 アッという間に駐車場に出てしまったのである (13時12分着)
「合目」 は麓の清水からが起点らしく、これは大変嬉しい勘違いであった。

本日はガスで頂上での展望は得られず、また頂上付近の山歩きは登りの苦労に比べてやや物足りなさを覚えたものの、 沢登りは楽しく、なかなか充実した山行であったと言えよう。
ところで、井戸尾根を下山途中、先日の 八ヶ岳再登山の時と同じ様なヘリコプターのホバリングの音がずうっと続いていた。
何か事故でもあったのかと思っていたのだが、駐車場で着替えをしている時、 男女のペア (だったと思う) が自分たちの車の所までパトカーで運ばれてきていた。
状況を聞かなかったのでよくは分からないが、先ほどのヘリの音は彼らを沢から救助したためのものであったようである (幸いケガはなかったようだ)
米子沢は立ち入り禁止となっている程危険のようであるし、また割引沢の方も難易度は高いらしいので、 いずれかの沢で事故にあったものと思うが、私が登ったヌクビ沢でさえも足を滑らせれば大きな事故に繋がる危険性が高く、 いずれにしても慎重な行動が望まれるものであり、自信のない方は井戸尾根コースがよかろう。
それにしても、間違って避難路に入ってしまい、吹上ノ滝、アイガメの滝を見落としたのは痛恨の極みであった。


巻機山登山データ

上記登山のデータ登山日:1998.8.1 天候:晴時々曇り単独行日帰り
登山路:桜坂駐車場−避難路分岐−落合−行者ノ滝−割引岳コル−割引岳−割引岳コル− 御機屋−巻機山−牛ヶ岳−巻機山−御機屋−ニセ巻機山−八合目−五合目−三合目−桜坂駐車場
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道)−用賀IC−(環状8号線)−谷原−練馬IC−(関越自動車道)−塩沢石打IC−清水−桜坂駐車場(車にて)
交通復路:桜坂駐車場−清水−塩沢石打IC−(関越自動車道)−練馬IC−谷原−(環状8号線)−用賀IC−(東名高速道)−横浜IC−瀬谷(車にて)
その他の
巻機山
登山
桜坂駐車場−五合目−六合目−前巻機−御機屋−巻機本峰−牛ヶ岳−巻機本峰− 御機屋−割引岳−御機屋−前巻機−六合目−五合目−桜坂駐車場  ( 2011.6.19:晴 )
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