Mr.ごんずい ダイビングの歴史 殿堂入りダイビング
忘れられない1本・・・
ホロ苦の1本編
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憎っくきカツオノエボシ
忘れもしない、ダイビングを初めて4本目という初めてのファン・ダイブでの出来事。
八丈島の乙千代ケ浜でのダイビング。5月の八丈という事で、危険なクラゲである
カツオノエボシには十分に注意が必要だったにも関わらず、初心者のオレは見事
餌食になってしまったのだ。エア消費の早いオレはエキジット・ポイントの手前で
既に残りエアーが無くなってしまったのだ。一緒に潜っていた先輩の小田さんと
一緒に海面を移動して帰ってくる事になったのだが、焦りもありカツオノエボシの
触手に触れてしまった。しかも痛みでバタバタした為だろう、スーツと手袋の間の
僅かな隙間に切れた触手がグルグル何重も巻き付いてしまった。無事に海からは
生還したものの、触手が巻き付いた両手首には酷いミミズ腫れの跡。まるで八丈
流人の様だった。幸いに跡が残る事は無く、今や初心者時代のホロ苦い思い出
として残っている。当然ながら自らの経験は危険な生物:カツオノエボシの講習に
必ず登場する話となった。
タコに教われ・・・
水中で危険な生物に遭遇し、不幸にも負傷する事はあるものだが、全く危険とも
思っていなかった生物だったタコ事件は鮮烈だった。ダイビングを初めて半年、
すっかり海にも慣れた頃だった。八丈島のツアーで、発生した。これも乙千代ケ浜。
(何か乙千代ばっかだが、乙千代ケ浜は非常に好きなポイント。むしろ八重根とか
印象の悪い場所はある)
乙千代の左の根で、皆がマダコを発見し、取り囲んで遊んで(イジめて)いたのだ。
で、逃げまどうマダコはオレの方に・・・
左手で通せんぼしたら腕に巻き付いて
キュッッ〜と締め付けたのだ。ここまでは良かった。思わずマダコを放そうと首の
根を掴んで引っ張ったら、次の瞬間に強烈な痛みが・・・
スーツと手袋の隙間に
マダコの口があって、肉もろとも食いちぎられたのだ!幸い表だったがウラならば
頚動脈。水中では茶色に見える血がピュ〜と手首から出た。しかもタコこ口である
円形にクレーター状にポッコリ肉が無い・・・ これは痛かった。タコに締めつけられ
ても、暫く放っておけば勝手に離れるという知識の無さが生んだ結末だった。
八丈の事故騒ぎ
ダイビング事故というのは最も恐れる事態であるが、自らスタッフとして関わった
ツアーで事故が発生した。1991年5月の八丈島ツアーで、ダイブマスターと
して初めてツアーに参加した時の事だ。我々のショップ一行は旧八重根港で
ファン・ダイブ組と講習組に分かれて潜っていた。海面はかなり荒れている状態
だったが、水中ではダイビングに支障がない程度。オレと浅井兄貴はダイブ
マスターとしてファン・ダイブ組に入っていた。ところが、講習組で行方不明が
出た。急遽、講習組の残った講習生とファン組を連れてエキジットしたのだが
上がると堤防には救急車。その行方不明の講習生は1人で浮上してしまい、
イントラが迎えに行く前に(大荒れの)海面を泳いで堤防方向に移動したのだ。
堤防で釣りをしていた人がヤバイと思い救急車を呼んだもの・・・ 幸いに怪我も
なく無事だったのだが、スタッフ側の責任の重さを痛感した経験となった。
浮上後に浅井兄貴と堤防の救急車を見送った時は完全にビビっていた。
水中で体験した地震
メインに潜っていた伊豆はとても地震が多い。今までにもダイビングのツアーで
揺れを体験した事はあったのだが、この日1995年9月30日、水中で地震を
体験した。当然ながら泳いでいるので揺れなんかは感じないのだが、東伊豆の
伊東沖で群発地震が発生していた。数年前には水中爆発もあったのも記憶に
残っている場所だ。この日発生した震度4の地震の最中に富戸のヨコバマで
妻と二人で潜っていたのだ。すると突然、『ズゴゴゴォォォォ〜ン』という内蔵に
響く様な重低音が聞こえてきた。『な・何じゃ?船か?』と一瞬驚いたが、すぐ
地震だと気づいた。震源からは数十キロ離れてたけど、響き渡る音に自然の
パワーが凄まじいと思い知らされたものだった。
妻の講習
ダイビングなんて全く知らないウチの親なんかは、会う度に『危ない』と必ず
言っていたものだ。確かに自分ではどうって事なかったけど、身内である妻が
ダイビングを始めたいと言い、普段からお世辞にもスポーツにアフティブとは
言えない人だっただけに彼女のダイビング講習した時にはさすがに緊張した。
同じくらいの女性の講習と何ら変りないのだろうが、身内で事故でもあったら
大変どころではない。講義の授業、プール講習を終え、遂に海洋実習が来た。
1995年7月27日、ごん妻:久子と二人で大瀬へ。先生と生徒の関係の時
くらい従順でいて欲しいが、わがまま言うし、マスククリアーはヘタクソだし、
確かにちょっとは心配だし・・・ 普通の講習生の3倍疲れた!
ヘレンちゃんの講習
ダイビングのイニシャル講習の中で印象深いのがヘレンちゃんだ。日本人の
母親と、イギリス人の父親を持つヘレンちゃんは日本語があまり理解出来ない。
オレも英語は苦手だし、海洋講習を担当したオレはボディ・ランゲージで果敢に
チャレンジしたのだった。それでもオレなりに気を使って、海に行くまでの会話、
特に初めての海洋講習なので緊張もしているだろうし、リラックスさせる工夫を
1週間前から考えて、むしろオレの方が緊張してんじゃないかと思うくらいの
講習だった・・・