諫早湾の干拓事業について

諫早湾の干拓事業は今に始まった話ではないが、1997年4月の遮断塀の
映像があまりにもショッキングであった事と、近年非常に盛り上がりをみせる
環境問題の格好の題材となった為にクローズアップされている。

この問題を1人のダイバーという立場で見た場合、明らかに人間の故意による
犯罪的な環境破壊であると言わざるを得ない。既に干拓部と外海(有明海)を
遮断する塀が閉じられて1年以上・・・


    遮断塀の内側の干潟の大部分は既に
    干上がってしまっている。この先 何年
    かけ この土地を人間に有効に使うのか
    見物だが、どうせ結論は見えている。
    1つの干潟が消える事で一連の食物
    連鎖も崩れ、単に干潟の生物を殺した
    だけではすまされないのだ。

   photo by H.yada

ムツゴロウは諫早湾より有明湾の方が数が多いから大丈夫などと言っている
うちは日本はお先真っ暗だ。
かと言って、何故諫早湾だけこれほど問題になるのはおかしい、今まで他の
場所で さんざん干拓事業を行って来たではないか!! という賛成派には『時代が
悪い。今までの干拓事業があまりにも環境問題を意識していなかったのだ』と
しか言えまい。
工事を中止する事で大きな雇用問題に発展し、将来の地域の農業にも影響が
出る。死活問題だろう。しかし干潟を壊す事で失うものの方が長期的に見て、
はるかに損失が大きいのではないか?
僕が問題だと痛感するのは この決断を何故急いだのか? という点だ。これだけ
世論が注目していたのだ。あと半年、1年ディスカッションしても良かったのだ。
だから許し難い犯罪だと思うのだ。

今回の諫早湾の干拓事業には水害対策の意味もあるという。が、その地域で
暮らす以上、その運命を受け入れるべきではないのか? 普玄岳に噴火するなと
言うのは無理な話だろう。

今後どの様にすべきだろう。難しい問題ではあるが、先ずこの様な環境破壊
そのものをしない事。(とは言っても既に大部分の日本の沿岸には人の手が
入っているが・・・) もう1つは再生への研究だろう。破壊のプロセスがある以上
完全でないにしろ再生へのプロセスもあるはずだと思う。この分野での研究を
望んで他ならない。

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ゴミの問題について

 
”ゴミ” ・・・ 文明を築いた動物:人間が生活する上でゴミは必ず出る。しかし
20世紀という世紀はあまりにもの早さで高度文明化が進み、大量生産、大量
消費と共にその結果のゴミが大問題となった。(未だ問題としてとらえていない
自治体や人が多いのも事実) 特に最近ではダイオキシンに代表される厄介な
ゴミが問題となっている。ああ嫌だ・・・。
ダイバーとして海に潜っていると多くのゴミが目につく。もちろんダイバーが好き
好んで海にゴミを捨てるのではなく、大半は陸から流れて来たものだ。

問題はいろいろあるが1つの例はビニール袋だ。スーパーやコンビニで買物を
すると必ずついてくるこの袋が問題なのだ。この袋、一度海に流れ出ると海中、
海面をクラゲの様に浮遊する。クラゲを餌に生きている海ガメが誤ってこの袋を
飲み込んでしまうのだ。カメの体内ではビニール袋を消化出来ず、やがて体内に
詰まって死んでしまう。カメにとっては何たる不幸。ニセクラゲが急増している。

売手側には 水に入ると早期に無害な物質に分解する袋の開発を、我々買手は
袋そのものを減らす努力をしたい。我が家では極力、買物袋を持参する様に努力
しているつもりだが ふらっとコンビニで買物をする時はやはりビニール袋を受けて
しまう。
それでも海に流出する事はないが、湾岸の地区では工夫が必要だろう。風等で
コミ袋が飛ばされない対策、更に最近の若者に横行するポイ捨ては厳しく罰する
べきだ。夏場に人が集まる海の家にも考えてもらいたい。その昔、僕が茅ヶ崎に
住んでいた頃 休日の朝にビーチを散歩すると その打ち上げられたゴミの量に
驚いたものだ。

もう1つは燃えないゴミ。典型は空きカン、ビンだ。

    確かに空きカン、ビンのゴミは海中に多い。
    僕が問題として考えているのはこれらの
    ゴミを新たな住処としている生物に対する
    人間(ダイバー)の意識なのだ。
    これらのビンや空きカンは小動物にとって
    格好の住処となってしまっている。

   photo by M.kusama

ミジンベニハゼという3〜5センチの小さなハゼは全身が奇麗な黄色で目が
澄んだ緑、とても可愛いそぶりをみせるハゼだが、どうした事かダイビング
ポイントでは空きカンを住処にするケースが目立つ。
それを写真に撮ったものがよくダイビング雑誌に紹介されたり、コンテストに
入選したりしてゴミ問題を我々ダイバーに訴えているのは非常に素晴らしい
事なのだが、どうも間違った認識をしているダイバーも多いのだ。
自ら空きカンを海中に持ち込もうとするバカもいるらしい。ダイバーの役目を
まるで判っていない。ダイビングショップの講義でダイバーの役目としての
側面をもっと教育すべきなのだ。
 
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モルディブ消滅問題について

 
1個人の力ではどうしようもないテーマばかりのEN−prjなのだがモルディブ
消滅問題もそのとうりである。個人レベルでは何も出来ないかも知れないが、
何もしない/考えないよりはよほどましだと思う。

モルディブ消滅問題と言ってもピンとこない人も多いので言葉を変えると地球
温暖化の問題だ。

    インド洋の宝石と言われるモルディブ諸島は
    大小1200もの島々が集まった独立国家で
    収入のメインは観光である。
    僕もモルディブにはダイビングに行った事が
    ある。初めての海外旅行だったので とても
    思い出深い場所なのだ。そのモルディブが
    国家存亡の危機に陥っている。
    この話はもう10年も15年も前から言われて
    きた話なのだが、国土の最も標高の高い場所
    でも約2m(最初モルディブに行った時4mと
    聞いたが最近は1.8mと言われている。)の
    モルディブは地球温暖化により極冠の氷が
    溶け、海面水位が上昇する事で国土が水没
    しようとしているのだ。

   photo by H.takahashi

先にNHKで放送された映像を見ても状況は深刻である。皮肉にもモルディブ
国内では殆ど自動車はなく(必要ない)、車が排出するCO2量は全く少ない。
が、経済・人口大国による大量のCO2排出によって地球温暖化が急ピッチで
促進しているのも事実なのだ。僕が彼らモルディブ人の立場ならば怒り心頭
だろう。何をしなければならないのか? 何が出来るのか?

答えは判らない。ただ個人レベル=家庭レベルでは節電=省エネルギーや
なるべく車を使わないとかその程度の事しかなさそうだ。
ダイバーの天国、そして僕の大切な思い出の地を亡くしたくない。個人から
組織へ、ダイバーとして何が出来るのかを考えて行きたいと思っている。

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