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デビッド・ラッセル
ギターリサイタル

豊中市立アクア文化ホール

 
2004.10. 8(金曜日)19:00 開演
  



プログラム
  

悪魔の奇想曲

   
M.C.テデスコ

コラール前奏曲
・カンタータ第140番より
・カンタータ第147番より

J.S.バッハ

バスクの調べ

G.マンホン

ラ・クアルテレーラ

E.ファルー

休憩
組曲第7番より
・序曲
・サラバンド
・パッサカリア

G.F.ヘンデル

5つのバガテル

W.ウォルトン

二つの作品
・もしも彼女が尋ねたら
・バイーア女の戯れ

D.レイス


アンコール

スペイン風セレナータ  マラッツ
スペイン舞曲第11番 グラナドス
最後のトレモロ バリオス
フリア・フロリダ バリオス






ラッセルを聴くのは今回が二回目、前回僕がイイノホールで聞いたのは、ちょうど鎌田さんのレッスンを受け始めた頃で鎌田さんからラッセルの話を聞くまで僕は彼のことをまるで知らなかった。レッスンでラッセルについて色々な話を聞いたのが本当に懐かしい。あれから4年・・・随分時間が経ってしまった気がする。
台風が接近中で雨の中、ギターの音もさぞ湿りがちかと心配したが全くの杞憂だった。アクア文化ホールは音響の良い素晴らしいホールだし、ラッセルのギターもとても良く鳴っていた。

今回、平日のコンサートでしかも全席自由席にも関わらずsaboriちゃんのお陰でステージに近いとても良い席に座ることが出来た。お陰で彼の油に乗った技を視覚的にも存分に堪能させてもらった。演奏内容も前回の時よりも良かったと思う。とにかくオープニングのテデスコからテンションの高い演奏が続き最後のアンコールまで集中力が途切れることが全く無い。マラソンで培った持久力、精神力の賜物かもしれない。今回はじめて間近で彼の左右の素晴らしいテクニックを見ることが出来たが、左手はもう完璧としか言いようがない。ヘンデルで多少苦し気な場面も見られたがそもそもギターで弾く曲ではないと言った方が正しい。難しいアレンジで、あそこまで弾くのは並大抵の技量では出来ないだろう。左手を見ていると結局テクニック上の秘密等まるで無いことに気づく。どんなに難しい箇所も美しい指の形が崩れることなく基本通り指が確実かつスムースに弦を捕らえているだけなのだから。手も大きいのだろうが滑らかに指板上を滑る指の動きは芸術的ですらある。右手は対照的にごっつく、こぶしに力強さを感じた。男性ギタリストの場合腕の太さに強さやたくましさを感じるがラッセルの場合はこぶしそのものに強さを感じる。リラックスしたタッチの中にも何処かしら野生的なイメージが常に漂う。女性的でしなやかな左手に力に満ちたボクサーのような右手…。そんな印象を持ったのはおそらく彼の右手の指がどの指も第二間接を支点にして動いていて、アップストロークに入る前のダウンストロークの大きさが目についたせいではないだろうか。フラメンコギターのラスゲア―ドのようにアルアイレで弦を弾く直前の指の返しが僕には大きく見えた。想像だが打弦する前の動きが大きいせいか、アルアイレだけであれだけ質感のある音が出せるのかもしれない。手の甲から各指の第二間接まではあまり動かずにその先の部分で弦を捉えている感じ。自分も家でやってみたけどうまくできない。
後で気付いたことだがギタ菌(ギタリスト金 庸太氏)さんの右手のタッチjにもやはり似たような印象を持ったことを思い出した。ダウンストロークの際、右手の指が握りこぶしからはじき出されるように飛び出してくるイメージ。間違っているのかもしれないが僕にはそんな風にも見えた。
どうでもいいことだが、気になったラッセルのステージでの一コマを紹介。バッハで譜面台を使用したのだが何故か眼鏡を外し、譜面台を使わない曲で眼鏡をかけた点。ラッセルもボチボチ老眼鏡が必要な歳だという証?なんだろうか・・

この日のプログラムでは、五つのバガテルが一番感動した。どの楽章も新鮮で音色の変化やフレ―ジングの妙にただただ魅せられた。アンコールではグラナドスの鮮やかな演奏が一番印象に残っている。エンディングのGの和音をネックを立て気味にして弾き終えた瞬間の彼の笑顔が忘れられない。次回の公演が楽しみである