展示会報告


2000年1月20〜25日

第一回「摺物」展示会
ギャラリー新宿高野

昨年の展示会報告で触れましたように、今年はちょっと趣向を変えてみました。写真をみれば一目でわかりますよね!

今までは、壁に版画を掛けて、照明は天井から明るくしていたのですが、入口を通るとちょうどこの写真のようになりました。障子が一列に奥まで伸びている、薄暗い部屋です。ここはギャラリーかな?それとも和風喫茶かな?

でも一旦中に入って展示物の方に近付くと、こんな注意書きが置かれています。

「江戸時代の人達はどんな明かりの下で版画を見ていたのでしょうか?皆さんのために再現してみました。」

完成した10枚の「摺物」が固い紙に載せられて、障子の前の台に置かれています。脇には各々の絵に添えたエッセーもあります。列のはじめにはもう一枚カードが置かれていて...

「どうぞ手に取って御覧ください」とあります。

会場に来た人達はおおむね素直に指示通り動いていまして...  私としては、来場者達がこのように正しい状態で、版画を鑑賞する様子を見るのがとても嬉しかったのです。柔らかな色彩や凹凸が良く分かりますから。

障子の列の最後は部屋の奥になっています。そこだけにはスポットライトを当てて実演をする所にしました。例年通り、実演の材料は最新の年賀状です。今年は最後の摺りが色を使わない空摺りになっていましたから、版木から作品を剥がして仕上がりをさっと見せると、決まって歓声が沸き起こりました。

昨年の展示会は特別(百人一首の10年プロジェクト完成記念)でしたから、それに比べれば今年はずうっと静かな毎日でしたが、幸い、マスコミ関係の報道が良かったので予想したよりは随分の賑わいでした。「摺物」の評判は上々で今年のアルバム予約者も結構な数になったんです。

今年のアルバムの題材としては、予約をした人達が毎回作品の届く度にあっと驚くような物を考えていますが、それは、いつものように「覗きっこなし」です!でもこれは、言い替えると「私を信じてください!きっと期待に沿いますから!」ということを意味してもいるのです。

展示会行事は、私にとって実り多かった1年の締めくくりでもあります。今こうしてこの記事を書きながら、まだまだお礼の手紙やらなにやらにもう暫くかかってしまうでしょうが、その後は次のアルバムに着手します。

展示場は来年の分も予約済みですから、前進あるのみです!


(過去の活動報告もあります