風のささやき

小学校の図書室で

小学校の図書室の陽ざしが
柔らかくて懐かしい
まだ散らないでいる桜の花は
窓の外に明かりをともすようだ

廊下をバタバタと
急ぎ足で歩く子供たちの足音
はしゃいだ声がすれ違っていく

子供が座る小さな椅子に
無理に腰かけている僕は
今にもつぶれないかと心配をしながら
黒板の上の図書室の約束を眺める

―正しい場所に戻そう
―かえす日をまもろう
―静かにしよう
―本は大切にしよう

小学生の僕はどれぐらいそんな約束を
守れていたのだろう
約束なんて大したことはないと
きっと考えていたな
それでも本を破るような無茶な真似は
しなかったと思うけれど

古い本の匂いは落ち着く
流石に小学校の図書室だ
こんなにも沢山の
子供たちの本があるなんて
手垢に汚れたその本の上を
どれだけの小学生の視線が
行き来したことだろうか

どれだけ多くの人が
子供たちのための本を書いているのだろう
どれだけ多くの大人が
子供たちに語り掛けたいことがあるのだろう

それを手にするのは子供たち
どの本との出会いを選ぶのか
願わくは幸福な出会いがそこにあることを

気持ちの良い風が
窓の外から吹き込んでくる
僕は本から何を学んでいたのかな

もっと小学生の頃にも
本を読んでいれば良かったな
今さら考えてもしかたがないことだけど

風の中に桜の花びらが混じり
図書室に届けられる
遠い遠い昔からの便りのように
その時はその時で良かったんだよと

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