一つの傘に
ビルが頭から濡れている アスファルトの上に 水たまりができる つつじが緑を濃くする 地上を濡らす雨が降るのだ すべてのものに同じように 街灯りの道を 一つの傘をわけあえば 僕は肩を濡らし あなたも少し肩を濡らした あなたに傾けた傘では 守りきれなかった 雨粒が頬に跳ね 目頭が少し熱くなる わずかに濡れた服の上から あなたの肩に手をあてる 雨から少しでも守ろうと そうして 胸のかすかな痛みにも 手をあてたかったから 地上を濡らす 雨は少し冷たくて 誰の上にも 同じように降る みんな少しずつ濡れながら 歩いてゆく 僕らだけは 遠巻きに 降って欲しかった 雨が降り続き 地上を濡らす 濡れていないものは なにもない
みんなが雨に濡れている。あなただけは濡れなければいいのにと思って。Last Updated 2026/06