擦り切れていく
混みあった車内に 剝き出しの言い争いが響いた 背中から浴びる 言葉の刃に 背筋が寒くなる 押すなとか そちらだろうと 年を重ねた勤め人が 声を荒げる押し問答 お酒の勢いのままに 言葉は強くなり 素直に謝ることが 出来なくなっている きっと 普段から一生懸命で 擦り切れている 胸の苛立ちが 濃くなりすぎて 顔色も悪い 本当は 分かって欲しいのに ねぎらいを聞きたいのに 舌から零れる 傷つけあう言葉が 次々と痛々しい やがて 誰かが仲裁に入る 止められない攻撃が途切れ どこかホッとした二人 それでも捨て台詞の 悪態を響かせて この胸のいらだちも 大きく肥え太った 僕はもう次の駅に降り 座り込みたかった 頭の奥の言い争いが消えない みんな疲れている 少しよろけて ぶつかる肩を支えあう 優しい余裕さえ どこかですり減らしている
電車の中で、言い争う声を聞きいたたまれなくなって。Last Updated 2026/05