この夏に
宝石がごろごろと眩しい道を 君のところへと 息をきらし急ぐ 夏の朝 ○ 胸の中でさえ熱をもち 燃えてしまいそうだ 夏の太陽 ○ 青々とした水田 踏切で止まる 車窓から 散歩中の 白い犬と目があう ○ 口を開けて待つ 雛のお腹をみたそうと 空を急ぐ親燕 だからあんなにも速い ○ 早く人生が 過ぎ去れば と 綴る短冊 僕は何を願おうか ○ 蔦の葉を 叩いてわたる夏の風 まるで木琴の 名手のようだ ○ 花火大会の人混み 乳母車の車輪が きしんでいる 夜空を見上げる 赤子のほっぺは 膨らんでいる ○ 朝の雨が 白詰草を慕って 大きな朝露になった ○ 乗客も少ない 二両の列車が 無人駅で止まって すれ違う車両を待つ ようやく 追いついた 赤とんぼが 向日葵の上で 息をきらすようだ
とある年の夏の記憶。Last Updated 2026/07