Go-21

このページは、これまで当会のMLにて紹介していました「Go-21湘南便り」をリニューアルして当地
湘南の様子をビジュアルにお送りします。私のみならず湘南に想い出がある方やこよなく愛でて下さ
る方の寄稿を歓迎いたします。                                  世話人敬白
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2002年6月9日

           湘南便りその49:鎌倉散歩第22回

       
  レ・シュー

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このところ連続して鎌倉山のグルメどころを紹介していますが、感想は如何でし
ょうか?今回は、私自身の舌で感じた日本一美味しいプリンを作っているお店を
紹介します。

そのお店の名前は「レ・シュー」といいまして、藤沢方面から、手広交差点を江
ノ島方面に曲がり、西鎌倉小学校の交差点から住宅地の方に右折するとすぐ左手
にあります。

レ・シューは、横浜ウオーカーやHANAKOなどの鎌倉特集で取り上げられたりテレビ
東京の旅番組などでも登場したことのあるこの辺りでは評判のケーキやさんです。

レ・シューのおすすめは、まず『にしかまプリン』です。

この"にしかまプリン"は、今はやりのなめらかタイプで真ん中に生クリームがはいって
います。やわらかいプリンの上にかかっている生クリームとアングレーズソースのバラ
ンスが良く、私のみならず、食べた人からは感動の声が必ずあがります。

特に"こってり"もしていなく、デコレーションもなく、これと言って特徴はない、いわゆる
普通のプレーンなプリンですが、プリン本来の持ち味がダイレクトに実感できるので、
様々なプリンが流行ってもこのようなプレーンなプリンの人気は決して落ちないと思い
ます。

価格は250円で、土日は昼過ぎに、平日も同じく早くに売り切れるので予約してから行
かれることをお勧めします。

あとひとくちサイズのにしかまチーズ(10個1000円)はばら売りも地方発送も出来るよ
うです。それとお誕生日にはいろいろなフルーツがいっぱいのったショートケーキ(ホー
ル2700円)が絶品です。クリームがおいしいし、モンブランもおいしいです。私が訪れた
時も中年の男性が結婚記念日をお祝いするための特注のケーキを取りに来ていました。

お店の景観もなかなかお洒落なので、ぜひ鎌倉観光がてらお越しください。

お菓子の名前についている「にしかま」という言葉がいいですよね。西鎌倉という ことだと
思うのですが、 お菓子に土地の名前をつけてその地域に根ざしたケーキ屋さんを目指し
ていると いう感じを受けます。

このお店は早い時期からホームページを持っていてお菓子の通信販売やスタッフの紹
介などをしています。また掲示板ではシェフとお客さんとのやりとりが活発に行われてい
ます。どうしても仕事中にはお客さんと直接やりとりする余裕がないことが多いので、こ
ういう風に掲示板で落ち着いて交流を交わしていけるのはとてもいいことだと思います。
面と向かっていないために、お客さんの率直な感想が述べられています。 また、直接
シェフと掲示板でやりとりすることによってよりいっそうお店に対する 親近感が持てると
思います。

レ・シュー (フランス菓子/Cafe) 

住所:鎌倉市西鎌倉1-2-1    tel:0467 (31) 5288
営業時間:10:00〜19:00     第三水曜定休
URL http://www.leschoux.co.jp/ 



レ・シューの店先です。店内はとても狭くて、いつもこんな風に行列が出来て
います。




にしかまプリンとにしかまチーズです。お一つ如何でしょうか?



2002年6月2日

           湘南便りその48:鎌倉散歩第21回

       
  サンルイ島

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「らい亭」を過ぎて、更に曲りくねった山坂道を降りていきますと鎌倉山の入り
口のロータリーに出ます。そのロータリー手前にお洒落なケーキ屋さんがありま
す。お店の名前は「サンルイ島」といって、本店が葉山にあるお店で、逗子の駅
前にも支店があります。

ケーキは20種類くらいあって、焼き菓子もかなり充実しています。一番人気だと
いう、さくらんぼのクラフティを頼んで、奥の喫茶コーナーでお茶を飲みますと
パリの街角の雰囲気です。

座席は4人掛けテーブルが3つしかなありませんので、おそらく、テイクアウトの
お客さんのほうが多いんじゃないかと思います。

クラフティは、パイ生地の中にダークチェリーを並べ、プリンのような甘さのク
レープ生地を流し込んで焼いたもので、実際、味はプリンのようです。

常温で食すとちょっと甘さが目立っていて懐かしい味ですが、少し冷やして食べ
たほうがもっと美味しいと私は思います。しかし、飽きない味です。

早い時間(午前11時くらい)に行きますと、先着順に味わえるというプチシュー
をサービスしてもらえます。これがまた美味しい。シューのあたまに砕いたアー
モンドがまぶしてあって、クリームもバニラの香りがよくてすっきりした甘さが
します。

その他にも、
ミルフィーユ(¥350)は、さくさくパイ生地に濃厚なカスタードクリームとス
ライスイチゴが挟まっていて一番上のパイ表面には粉砂糖を水で溶いて塗ったよ
うなコーティングがされています。しかし、ちょっと甘すぎる感じがします。

アールグレイ(¥450)も渋みが一切なく、香りだけが強く出て今一な印象です。

まぁ、他にもいろいろ食べ比べて、自分の好みを発見するのも良いでしょう。し
かし体重が気になりますが・・・。

皆さんも鎌倉山においでになった時は一度このお店にお立寄り下さい。

[アクセス]鎌倉駅よりバスで鎌倉山下車すぐ
     湘南モノレール/西鎌倉駅より徒歩20分 鎌倉山ロータリーよりすぐ
[お値段]さくらんぼのクラフティ 300円  コーヒー・紅茶 500円〜



サンルイ島のお店です。訪れた時は店横の桜がとても綺麗でした。



さくらんぼのクラフティとプチシューです。



2002年5月26日

          湘南便りその47:鎌倉散歩第20回

       
   らい亭

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さて、ボンジュールから暫く山坂道を行くこと10分。急な坂をかなり登った所に
突如「らい亭」の門が見えて来ます。

らい亭は、昭和の初めに日本最初の分譲別荘地として開発されました。山門はそ
の折に、1642年、鎌倉西御門にあった古刹寿延山高松寺に建立されたものを移築
したものです。

本館は、江戸時代の建造で、戸塚の豪農猪熊家の旧宅を移転改築したもので、室
内には日本で最初に焼かれたステンドグラスや明治初期の外国製シャンデリアな
どがあり、現在もそのまま使用されています。

庭園は、廻遊式とよばれ、石仏・石塔・竹林・梅林・季節の草花等を楽しみなが
ら散策することができます。また、庭内には茶室「月庵」や甘味処「露庵」があ
り、そこから眺める富士箱根連山は一幅の絵を見るような趣があります。

らい亭は、正しくは木辺に雷と書きますが、入り口の門構えもとても立派でとても敷居の
高いお店に見えます。


この古い山門をくぐると愛想はハイパー級、見た目は・・・のご婦人が「500
円ですぅ」と声を掛けて来ます。???と
内心ドキドキしていると何のことはな
いこの施設に入るには入場料が500円必要なのです。但し、中で
食事、甘味など食
べると500円引いてくれるというシステムになっています。

本館は、1階はそば処、2階は懐石料理になってますが、景色は1階のほうが良
いようです。

どうも1階と2階では予算にかなりの差が出そうで、私は1階でおそばをいただいた
ことしかありませんが、お勧めは2,500円のそば定食でしょうか?
山門で入場料の500円を支払ったので、お食事代は500円を引いて2,000円になりま
す。


ここは鎌倉山の高台にあるので、のどかで素朴な山の景色が広がっています。
開け放した窓から入る自然の風を受けながら、おいしいおそばを食べると幸せな気
分にひたることが出来ます。

鎌倉山は、車やバスを使わないと行きづらい場所ですが、らい亭のほかにも「ロー
ストビーフの鎌倉山」や、驚くほど高価なケーキを食べさせてくれる「ホルトハウ
ス房子の店」など、有名店もたくさんあります。

これまでも紹介したように桜の時期は3キロも続く桜並木が見事ですし、らい亭の
庭だけでも四季折々でいろんな景色を楽しむことが出来ます。

「らい亭」は有名どころですから、休日はかなり混み合います。静かな雰囲気を期
待するのでしたら、是非平日に行くことをお勧めします。町中の喧燥を忘れて静か
な時間を過すことが出来るはずです。


「らい亭」の案内

営業時間:蕎麦どころ11:00〜日没/会席料理11:00〜20:30

交通:電車で行く場合。

◇JR大船駅下車
京浜急行バス 鎌倉山行・鎌倉山経由江ノ島行。鎌倉山下車、鎌倉山発、鎌倉駅行
バスに乗り換え高砂下車。

◆JR鎌倉駅下車
京浜急行バス 鎌倉山行・鎌倉山経由バスにて高砂下車。


*車で行くのは便利ですが駐車場が小さい(20台)のでおすすめできません。

住所:鎌倉市鎌倉山高砂 電話:0467−32−5656




これがらい亭の山門です。なかなか立派な門です。



2002年5月19日

          湘南便りその46:鎌倉散歩第19回

       
鎌倉山ボンジュール

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さて、桜並木の最高点より少し下ったところ、夫婦池に行く道との交差点近くに
ボンジュール鎌倉山店という自家製パンを売る小さなお店があります。

このお店は葉山と鎌倉山にある焼き立て欧風パンの店です。10年くらい前にTB
Sの「海岸物語」というドラマの舞台になった店です。

このドラマには石田純一さんや賀来千香子さんそして島田紳助さんが出演してい
ましたがここでは実名のボンジュールが登場していました。ドラマではどちらか
というと葉山にある本店のほうがメインだったような気がします。

葉山の店はパン屋の隣がレストランになっていますが鎌倉山はパン屋のみです。
鎌倉のガイドブックにはだいたいどちらかの店は載っていると思います。

ガイドブックにもたいてい書いてありますがこの店で一番有名なのは食パンで、
1斤単位で売られています。1本で2斤分あり600円。1斤で買う場合は半分
の300円。真ん中が膨らんだ山型食パンなので「山食」というのだそうです。

ですから常連さんになると、予約の時も「山食1本」といいます。山食以外は直
接お店にいっても買えますが、山食はお昼頃に直接いったのでは買えないことが
あります。電話で予約してから行くことをお勧めします。

この食パンは、天然酵母で焼き上げたもので、噛むほどにおいしいです。
通常のイースト菌で焼いたものに比べて、フワフワ感はないけど、本来の小麦の
味がします。これを食べ慣れると、もう他のパンでは物足りなくなってしまいま
す。コンビニで買うヤマザキの食パンとかに比べると中身がぎっしりつまってい
るという感じがします。ですから1斤で結構ずっしり重く感じます。

焼き立ての時はそのままジャムやチーズと共にちぎって食べるとおいしいですし
さめてからもサンドイッチやピザトーストにするととてもおいしいです。

特にピザトーストはお薦めで、ありきたりのピザソースとチーズをのせて焼いた
だけなのに、喫茶店で出てくるようなおいしいピザトーストになります。パンが
違うだけでこうも違ってくるものかと思います。

このお店は決して交通の便が良いところにはありませんが、平日でも随分遠くか
ら車でパンを買いに来る人が多くて、店の前には交通整理のおじさんがいつも立
っています。

皆さんも一度食してみませんか?

欧風パン ボンジュール [葉山]
tel:0468(75)0855 9時〜19時 水曜休

[鎌倉山]
tel:0467(31)9155 8時〜18時 水曜休



これが鎌倉山ボンジュールです。この辺りの桜も綺麗です。



2002年5月12日

           湘南便りその45:鎌倉散歩第18回

       
   鎌倉山の桜

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桜の季節が過ぎ、5月も半ばとなって早くも新緑の季節を迎えました。

日ごろはGo-21湘南便りをご愛読戴いて有難うございます。前回で鎌倉の東方面の案
内が一段落しましたので、今回から鎌倉の中心部を少し離れて「鎌倉山」を紹介しま
す。

鎌倉の分譲地の草分けだった鎌倉山は、大船片瀬間の自動車専用道路の開通と同時に
開発されたものですが、それから今日までもう70年も経過しました。

鎌倉山は、鎌倉のビバリーヒルズとも言われています。

ビバリーヒルズというのは、ご存じのようにロサンゼルスにある高級住宅地です。ハ
リウッドスターが大勢住んでいることでも有名ですが、鎌倉高校裏から鎌倉山といわ
れる地区の住宅街も「鎌倉のビバリーヒルズ」と呼ばれることがあるようです。

また、この鎌倉山は「かながわの花の名所100選」に選ばれた桜の名所でもあります。
これから、この鎌倉山の見所や味所を紹介して行きますが、今回はこの見事な桜並木
を紹介します。

鎌倉山へは、腰越側から入るコースもありますが、藤沢から大仏へ向かう県道の常盤
口から右折すると直ぐ目の前の坂道に見事な桜のアーチが展開します。

この道沿いのサクラは、宅地造成の際に植えられたソメイヨシノが多く近年はサク
ラばかり植えるのは多様な生きものを守る視点に欠ける≠ニいう指摘もありますが、
やはり生まれもった日本人の心は否めないのではと思います。

毎年のことですが、今年も光あふれる満開のサクラに、思わずため息をついてしまい
ました。

以下の写真は3月30日に撮影したものです。



常盤口から見た桜並木



鎌倉山の桜のアーチ

湘南・鎌倉付近の桜の時期は3月末から4月半ば、満開が4月初旬ほどになる
のですが、今年は開花が非常に早くて4月になると葉桜になってしまいました。

桜の季節、少し風のある休みには、ぜひ鎌倉山をドライブして欲しいです。
まるで桜のトンネルの中をくぐるように大きな花の枝がさしかかる中、
熟した桜色の花びらがこれでもかというくらいに、はらはらと舞い散ります。

それは、一度見たら忘れられない、極楽にでも迷い込んだような美しさです。



2002年4月28日

           湘南便りその44:鎌倉散歩第17回

         
石窯ガーデンテラス
         鎌倉のちょっと良いところ

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それでは、お約束通り浄明寺を訪れて思いがけず発見したちょっと良いところを紹介し
ましょう。

浄明寺のとてもスッキリとしたお庭と緑色の銅葺の屋根が綺麗なお堂の横を過ぎて奥に
進みますと「石窯ガーデンテラス」というお寺には似つかわしくないお洒落な看板が立
っています。

趣のある庭園がある喜泉庵がありまして、それを横目に急な坂を昇っていきますとメル
ヘンチックな「石窯ガーデンテラス」の建物が見えて来ます。この洋館は寺の敷地内に
あり、洋館としては鎌倉で2番目に古いとか。

このお店は伊藤らいむさんのお店とのことでした。とてもお洒落な店内でしたが、それ
よりもテラスはもっと気持ちが良さそうです。

ここの特徴はフランス式の石窯。薪で210度まで温めた釜に、天然酵母だけを使って
こねたパン生地を入れて焼いた、どっしりと食べごたえのあるパンです。

作っているのは20代の女の子3人。彼女たちは毎朝5時半にきてパンを作っているの
だそうです。お聞きしますととっても楽しいんだとか!

私が訪れた時は昼食を食べた直後でしたので残念ながらパンはいただかなかったのです
がコーヒーもなかなか美味しかったです。

とても雰囲気が良いテラスだと思いますので、皆さんも鎌倉見物の折、一度訪れてみて
はいかがですか? 

石窯ガーデンテラス  神奈川県鎌倉市浄明寺3−8−50 TEL0467−22−
7455 10:00−17:00 定休日 月曜日    



石窯ガーデンテラスのなかなかお洒落な建物です。訪れた時は
ちょうど女性スタッフが窓掃除をしていました。



室内から庭のテラスを見たところです。訪れた時は昨年末だったのですが
梅が咲きかかっていました。




2002年4月21日

            湘南便りその43:鎌倉散歩第16回

         
鎌倉まつり
            静の舞

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今回は浄明寺で発見した良い所をご紹介するつもりでしたが、ちょうど今日21日まで
「鎌倉まつり」が開催中でして、当初の予定を変更してこの鎌倉まつりを紹介したい
と思います。

いにしえの都の武士の世界をほうふつとさせる鎌倉まつりは、毎年4月の第2日曜日か
ら第3日曜日に開催されます。今年は4月14日から4月21日がこの期間にあたりまして
次のようないろいろな催し物が開かれました。

14日:弓道大会・パレード・2002年ミス鎌倉お披露目・静の舞
14日〜20日:野点席
20日:義経まつり
21日:やぶさめ太鼓・流鏑馬

上記の内、14日に鶴岡八幡宮舞殿で行われた「静の舞」を取材して来ましたので紹介し
ます。

静の舞は、約800年の昔、源義経と生き別れになった悲劇の愛人「静御前」をしのんで
古式ゆかしい舞を再現するものです。今年、静御前を演じたのは西川流名取の西川翠扇
さんでした。

ここでこの静の舞の由来を辿ってみますと鎌倉時代の正史といわれる「吾妻鏡」にそれ
を見ることが出来ます。

鎌倉幕府を開いた源頼朝は、後に弟であった源義経を恨み、追討の兵を挙げます。静と
義経は吉野山で別れ、義経は東国へ逃れ、静は京都へ逃れますが、ついに捕えられて頼
朝のもとへ。静は義経の行方を厳しく問われますが決して答えませんでした。

白拍子であり舞の名手と名高い静に頼朝は舞を求めます。それを断わり続ける静ですが
遂に鶴岡八幡宮の舞台に上がり

よしの山峰の白雪ふみ分けていりにし人のあとぞこいしき。
しづやしづしづのおだまきくりかえし、昔を今になすよしもがな
(吉野山の白雪を踏み分けて奥州に消えた人=源義経=が恋しい)
(しず布を織るために糸を巻く苧環=おだまき=のように繰り返す、昔であったらどん
なに良いことか)

と唄い舞います。
しかし、頼朝の機嫌は悪く、
「八幡の神前において芸をするならば、関東の万歳を祝うべきであるのに、わしが聞い
ていることをもはばからず、反逆の義経を慕い、別れの歌をうたうとは奇怪しごく」
と、ブツクサい言い始めました。

それを聞いた頼朝夫人の政子が、

「わがきみが伊豆の流人でおわしましたころ、北条殿は時宜を怖れてわたくしを閉じ込
めましたが、
わたくしは暗夜も雨の中もわがきみのもとへ通いました。また石橋の合戦
に出陣されましたお
ひとり伊豆山に残り、安否を心配して魂消える思いでざい
ました
。今の静もおなじでごさいましょう。予州どのとの多年の愛を忘れて恋い慕わな
いようであれば、貞女とは申せません
外にあらわれた風情に寄せて内なるまごころを
あらわす、
これこそ幽玄の芸というものでございましょう。曲げて賞翫(しょうがん)
なされませ」
と諭したところそれでいくらか頼朝の機嫌がなおり、しばらくして政子は着ていた卯花
襲(うのはなかさね
の衣をぬいで御簾の下からそっと押し出し、静に褒美として与え
たのだそうです。

この辺りの知識を持って静の舞をご覧になると趣が違ってくるのではないでしょうか?



静役の西川翠扇さんの舞姿です。
流石は人間国宝 西川流十一世宗家西川扇蔵氏の
直弟子ということで貫禄の舞でした。



八幡宮の中にある源氏池側の藤棚です。本当に今が盛りでした。



2002年4月14日

            湘南便りその42:鎌倉散歩第15回

         
  浄明寺

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報国寺から金沢街道を渡り、続いては浄明寺へ。山門を入り本堂までの石畳脇にはお茶
の木が植えられています。

そもそも「お抹茶」は鎌倉時代初期、栄西が中国より持ち込んだのですが、その頃は超
貴重品で「不老不死の薬」とされていたのだそうです。

浄妙寺は稲荷山と号し、鎌倉五山第五位に列する臨済宗建長寺派の寺です。源頼朝の忠
臣、足利義兼が文治四(1188年)に退耕行勇律師を開山に迎えて創建しましたが、当時
は極楽寺と称する密教系の寺院でした。その後、建長寺の開山である蘭渓道隆の弟子、
月峯了然が住職となってから禅刹に改められ、寺名も現在の浄妙寺に改称されました。

歴代の住持には約翁徳倹、高峰顕日、竺仙梵僊、天岸慧庚など名僧が多く、至徳三(13
86年)に足利義満が五山を制定した頃には七堂伽藍が完備され、二十三院の塔頭を数え
る大寺院でした。

その後、度々の被災により衰退し現在は宝暦6(1756年)に再建された本堂と総門、客
殿、庫裡等で伽藍を形成しており、境内は国指定史跡になっています。本堂の左手には
天正年間(1573〜1591年)に僧が茶席を設けた喜泉庵を復興した茶室があり、庭園を
眺めながら抹茶がいただけます。

次回はこのお寺でとても良いところを発見したのでそれを紹介します。





浄妙寺山門と本堂です。
度重なる火災と1923(大正12)年の関東大震災により、 室町時代、盛時
の大伽藍の面影はなくなってしまいましたが、 山門から本堂へ広がる
静寂な境内(国重文)は鎌倉五山第五位の風格を現在も保っています。
本堂には釈迦如来像が祀られ、裏の開山堂には栄西の弟子・退耕行勇像
(国重文) があります。その他「足利直義御教書」をはじめ、貴重な古文書
も数多く保存されていますが 残念ながら未公開となっています。




2002年3月31日

            湘南便りその41:鎌倉散歩第14回

         
  報国寺

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杉本寺から金沢街道を滑川に沿って東北に向かって少し行き、バス停手前で右側にある
「華の橋」を渡り、ゆるやかな坂を登ったところに「報国寺」(ほうこくじ)がありま
す。

山号は巧臣山、開山は天岸慧広(てんがんえこう)で、1334(建武元)年開創といわれ
ています。開基は足利尊氏の祖父家時といわれていましたが、宅間上杉氏の祖である重
兼という説もあり、家時の建てた寺を重兼が報国寺にしたのではないか?ともいわれて
いるようです。

いずれにしても、以後足利家並びに上杉家の菩提寺となって、境域も広く五山・十刹に
次ぐ諸山に長寿寺などと共に数えられ、官寺としての寺格を与えられています。

報国寺の山門を抜けてこざっぱりとした参道を進み、その先の石段を登ると本堂が見え
て来ます。その裏手に広がるのが、報国寺が“竹の寺”といわれる所以である見事な竹
の庭です。

竹林に足を踏み入れると、そこが寺の境内であることを忘れさせるほど森閑とした雰囲
気が漂っています。竹本来の美しさとその本数の多さに改めて驚き、まっすぐ空に向か
って伸びる様子に何やら感動すら覚えてしまいます。何度見てもスゴイと感じます。

うっそうとした竹林の中には石を敷いた通路が延びていて、ところどころに石灯籠や石
仏が置かれているのが風情を感じさせてくれます。竹林の奥には茶室が設けられていて、
抹茶をいただきながら休憩をとることも出来ます。薄暗い竹林に柔らかく差し込んでく
る夕陽の光に目を奪われ、時折そよ風に揺れる竹の葉音に耳を澄ませる時間はまさに格
別なものです。

また竹林の右横、ちょうど本堂の裏手に広がる庭園も見応えがあります。きれいに手入
れされた庭園の向こうにはゴツゴツとした岩肌が立ちはだかっており、その上に覆い被
さるように木々が生えています。岩肌には足利一族の墓といわれる大きな横穴が空いて
おり、何となく中国の墨絵を思わせるような雰囲気もあります。

思いがけず、仏教が大陸から渡ってきたことをしみじみと思い起こさせてくれる寺です。

このお寺は、とても雰囲気があるためカップルにとても人気があります。私が訪れた時
も、平日にも関らず沢山二人連れを見かけました。




報国寺本堂です。



これがうっそうとした竹林です。真昼でも暗いですが
とても雰囲気があります。



報国寺庭園です。