第一次大戦を舞台に、貧しい農家の青年アルバートと、彼が慈しんで育てた愛馬ジョーイの、別離と再会を描いた感動作。
アルバートとジョーイの関係は飼い主と飼い馬という立場を越えて、共に歩む同胞という関係に見えます。
しかし、実家の貧しさ故にジョーイは軍馬として売られ、イギリスからフランスの戦地へと渡ります。そして戦闘の結果ジョーイはドイツ軍に捕獲され、巨大な砲車を引っ張る使役馬として酷使される運命に。
同僚の馬が酷使に倒れ死す中で、かつてアルバートのために荒れ地を耕すために力を振うという経験を持つジョーイは、酷使に耐えて生き抜く。そして・・・。
本作品で描かれるのは、戦争がもたらす悲惨さ。
馬には関係のない、人間がかってに繰り広げる戦争という中に翻弄されて過酷な運命をたどるジョーイの姿は、そのまま戦争の悲惨さを体現しています。
終盤、そのジョーイが英軍と独軍が対峙する中を疾走する姿、そして絡めとられて転倒するまでの姿は真に圧巻です。
戦争の悲惨さを描く部分に触れたとき、ふと「コールドマウンテン」を思い出しました。
本作品で凄いと思ったのは、馬に演技をさせたところ。物言わぬジョーイという馬から、本当に彼の表情、彼の意思が感じ取れるところ。
本作品で名演技を披露したのは、馬のジョーイとアルバートの母親を演じたエミリー・ワトソンの2人であると言って過言ではありません。
それにしてもドイツ軍、いつもながら非道で、憎々しげに描かれますねぇ。合理的なところが戦地では非道という形で現れるからでしょうか。
馬を見事に主人公に仕立て上げたという点で、観るべきところのある作品です。
2012.03.17
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