“コールドマウンテン” ★★★
COLD MOUTAIN
(2003年アメリカ映画)

監督・脚本:アンソニー・ミンゲラ
制作:シドニー・ポラック他
出演:ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー

 

素晴らしい映画でした。久々に深い感動を得た作品。

時代はアメリカの南北戦争。ノースカロライナ州コールドマウンテンから南軍に出征したインマンは、恋人エイダを想って止まない。
一方のエイダもまた、宣教師の父親を亡くして独りっきりとなり、困窮した状況から、インマンに帰って来てほしいと待ち望む。
ついにインマンは脱走し、脱走兵狩りの危険を負いながら、一人歩いて遥かなコールドマウンテンを目指す。
エイダは牧師の娘としてお嬢様育ちだったことから何もできず困窮に任せていたが、そのエイダの手助けに現れたのがルビー・シューズという娘。畑仕事も何でもこなすルビーの活動力により、エイダとルビーの生活は軌道に乗っていく。
しかし、その一方で、多くの男性が出征し女ばかりとなったコールドマウンテンでは、義勇軍の指導者を名乗るディーグが専横を振るう。
コールドマウンテンを目指すインマンの困難な道のり、残された女たちの苦難、戦争中につきものの専横・暴力。インマンとエイダの愛を機軸にしながらそれらを並列的に描き、南北戦争というアメリカの悲惨な時代を立体的に写し出したスケールの大きい作品です。

インマンとエイダは、決して熱愛中の恋人という訳ではない。話した機会も3度程度、出征前に1度キスも交し合っただけ。それでも、2人は強く恋し合う。
そこには、本能的な愛があり、それを通じて生きるということがあり、さらに生命を繋いでいく、という人間の本質的な活力が語られている。最後の家族揃っての団欒の風景にそれが感じられます。
インマンとエイダの間の愛は、当初段階ではおままごとのような愛に過ぎないと感じられますが、苦難を経て力強いものへと変貌していく。それは何もこの2人に限ったことではなく、インマンが辿った道のりの途中での出来事からも感じられることです。
インマンとエイダが愛に生きる男女というやや類型的なパターンに嵌ってしまっているのに対し、逞しく生きるということ、いろいろな感情を抱えながら強く生きるということを体現しているのが、レニー・ゼルウィガー演じるルビー。
ルビー演じるレニーの演技はとても素晴らしい。彼女のこれまでの出演作の中でも最高のものというべきでしょう。アカデミー最優秀助演女優賞およびゴールデングローブ助演女優賞の両賞に輝いたのも当然のこと。

なお、全米図書賞受賞の原作、フレイジャー「コールドマウンテン」(新潮社クレストブックス)も、いつか機会を見つけて読んでみたいと思います。
(原作は2006.03.25読了しました。)

※アカデミー最優秀助演女優賞・ゴールデングローブ助演女優賞(レニー・ゼルウィガー)等受賞。

2004.10.02

     
 → 原作:「コールドマウンテン

 


  

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