“点子ちゃんとアントン” ★★
Punktchen und Anton
(1999年ドイツ映画)

監督・脚本:カロリーヌ・リンク
出演:エレア・ガイスラー、マックス・フェルダー

 

エーリヒ・ケストナーの名作「点子ちゃんとアントン」の映画化。
他のケストナー作品の最近の映画化同様、現代風にアレンジされています。そのことによって、少しも原作の素晴らしさが損なわれないのが、ケストナー作品の凄さです。

点子(ルイーゼの仇名)ちゃんは裕福な家庭の女の子ですが、母親は年中仕事で海外出張しており、母親の愛情に飢えている様子。その点子と親友のアントンは、とても仲の良い母子ですが、離婚家庭であり、母親は気管支炎の持病もちでアイスクリーム店のウェートレス職も休みがち、という境遇。
貧富の差を気にすることなく、点子とアントンの2人が仲の良い様子は楽しい。そして、母親を気遣うアントン(ケストナー自身の母親への気持ちがかなり反映されているのでしょう)、自分の都合ばかりを優先している母親に対する点子の反撥、という点を中心にストーリィは展開していきます。
大人の都合・勝手で子供を苦しめてはいけない、この物語からはそのことを強く感じさせられます。
サイド・ストーリィとしては、点子を慈しむ家政婦ゼルダや、フランス人家庭教師ロランスらと音楽に合わせ踊るシーン等、原作にない楽しみを加えています。

主役の点子を演じるエレア・ガイスラー、アントンを演じるマックス・フェルダーの2人とも、出演当時10歳。熱演していると言って良いでしょう。
とくにエレア・ガイスラー、点子がお金を稼ぐため駅構内で歌って踊るシーン、なかなかの芸達者ぶりを発揮しています。
原作にこだわらず、相応に楽しめる作品です。

 
2004.01.31

      
→ 原作:
「点子ちゃんとアントン」

    


  

to 映画note Top     to 最近の映画 Index