“哀れなるものたち ★★★
Poor Things
(2024年イギリス映画)

監督:ヨルゴス・ランティモス
原作:アラスター・グレイ
脚本:トニー・マクナマラ
出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユゼフ

 

怪奇ストーリィ? いやいやこれは、成長ストーリィ。

しかし冒頭は、フランケンシュタイン、「ドウエル教授の首」といった怪奇幻想小説を思い出させられます。

天才外科医ゴドウィン・バクスターの助手となったマックスが、バクスターの家で出会いその観察を頼まれたのは、ベラという若い女性。
そのベラ、とにかく動きがおかしい。動作がギクシャクしているうえに、その振舞いときたらまるで赤ん坊のよう。
その秘密はバクスターの口から語られます。
身重の状態で海に身を投げた女性。その女性の遺体を買い取ったバクスターが行った外科手術は、胎児の脳を取り出し、その母親の頭に移植するというもの。
そうして生まれ変わったのがベラ、という次第。

ベラ、マックスが出会った当初はいたいけない赤ん坊のようでしたが、日々、成長していきます。
そしてセックスの楽しみを知ったベラは、放蕩ものの弁護士ダンカンの誘いを受けヨーロッパへ、ベラ曰く、世界を広く知るための冒険へと旅立っていきます。

何の教育も受けず、何の作法も教わっていないベラの言動は、さすがのダンカンをも慌てさせることばかり。
しかしそれは、率直な問いかけ、とも言えます。

そしてベラの、急速な成長、思いもよらぬ行動ぶりは、ダンカンを狂わしくさせて・・・。

凄い映画を観た、という気持ちです。
そしてそれ以上に、ベラを演じたエマ・ストーンの演技が凄い。最初から最後まで圧倒去れ尽くしました。
演じているという立場を超えて、もうベラそのものとしか思えない、くらい。
エマ・ストーンは本作で、名女優の位置を確立したのではないでしょうか。

そのベラに翻弄されるダンカンを演じるマーク・ラファロの演技もお見事。
「ハルク」だけの俳優ではなかったんですねぇ。

最後の急展開には驚かされましたが、結末は痛快。 傑作!です。

2024.02.01

           


   

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