母娘2人きりと思っていたら、実は父親は生きていて、それも最近自殺未遂が報じられた80年代の人気ロック歌手だったというストーリィ。
割とよくあるストーリィで、私が好きなコリン・ファースの「ロイヤル・セブンティーン」も似たところがありますが、本作品が違うのは家族3人の再構築という展開+歌い続けることのできる幸せが中心となっていて、余計な娘の恋愛話などないこと。まぁ、主人公が娘か否かという違いもありますが。
人気ロック歌手だったポール・カーも今は引退同然の暮らし。その彼が、酔っ払ってバイクで二階の窓から飛び出すという騒ぎを起こします。
それがきっかけで、美容院を営んでいるレベッカ・エドマンズはひとり娘のオリビアに、実の父親がポール・カーであることを打ち明けることになります。
それから後は、ポールの断酒、初めて存在を知った娘オリビアとの出会い、オリビアをめぐるポールとレベッカの意見対立という展開。
この映画の楽しさは、音楽と触れ合う喜びが土台になっていることにあります。ポールはかつての人気ロック歌手ですし、レベッカの父親は老いてもなおバンドの連中と一緒にバスで年中演奏旅行をしているロックン・ローラー。レベッカ自身もポールの演奏を聴きに行って彼と一晩結ばれたというように、元々は音楽好きなのですから。
ポールや祖父のロック演奏が楽しめる一方で、それと対照的なオリビアの澄み切った歌声も本作品の魅力のひとつです。
オリビアを演じるのは、シャルロット・チャーチ。私はこの映画で初めて知ったのですが、1986年英国生まれの少女ソプラノで、アルバムも既に数枚出している歌手だそうです。
かなりキュートなうえに美しい歌声。彼女を眺め、その歌声を聴いているだけでもかなりいい気分になれます。
ストーリィと音楽とシャーロット・チャーチ、そこに見応えのある佳作です。
2005.05.05
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