“A.I.-Artificial Intelligence-★★
(2001年アメリカ映画)

監督・製作・脚本:スティーヴン・スティルバーグ
原案:スタンリー・キューブリック
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、フランシス・オーコナー、ジュード・ロウ

 

地球温暖化の進行により、多くの土地が海中に沈み、人口を抑制せざるを得なくなった未来社会が舞台。そこでは既にロボットが多く生み出され、セックス・ロボット等人類の需要に応じていた。
そんな未来社会にてある科学者が計画した事は、人と同じ感情をもつことのできる新型ロボットの試作。母親を愛する子供ロボットを作り、子供の居ない夫婦の希望をかなえようというもの。
題名の“Artificial Intelligence”とは、「人工知能」の意味です。

その結果誕生したのが、主人公となる子供ロボットのデイビット。
彼は、子供が長く意識不明となったままの夫婦の元に贈られます。最初は戸惑うものの、やがてモニカはデイビットを受け入れ、我が子として愛するようになります。しかし、お互いにとって不幸なことに、息子マーティンが覚醒し家に戻ってきたこと。
その結果、デイビットは、母親モニカの愛を再び取り戻す為、はるかな旅を余儀なくされます。
“ピノキオ”の未来版が意識されたと言えるストーリィですが、おとぎ話ではない為、
デイビットが妖精ブルー・フェアリーに出会って人間になることができる、というのは不可能です。そこに、デイビットの悲しい運命があります。

そこで思い出されるのは、アンドリュー NDR114”。やはり、未来社会で生まれたロボットが人間になることを目指し、はるかな旅路を辿る、という内容の映画です。
しかし、“アンドリュー”は大人のロボットであり、先覚者として新たな道をめざすだけの意思・行動力がありました。それに比べ、愛される為の子供ロボットとして作られた
デイビットの過酷と言ってよい哀れさがあります。

映像技術の駆使に成功し、同時に胸を打つ作品ではありますが、その一方で、ストーリィに解決がなく、おとぎ話にもなりきれないという、釈然としない気持ちの残る作品でもあります。
その理由を確かめようと思うならば、結局人間のエゴに突き当たらずにはいられないでしょう。
なお、この映画の魅力は、主役であるオスメント少年の魅力(表情・演技)を抜きにしては語れません。

2002.03.21

   
  


  

 to 映画note Top     to 最近の映画 Index