“喜びも悲しみも幾年月” ★★★
(1957年日本映画)

監督:木下恵介
脚本:木下恵介
出演:高峰秀子、佐田啓二、有沢正子、中村賀津雄、田村高廣
、仲谷昇
上映時間:155分

     

主題歌が有名だった故に映画作品も勿論知っていましたが、高峰秀子さんへの関心を持つに至らなければおそらく観ることはないままだったことでしょう。
それにしてもこれ程長い、観応えたっぷりの作品だとは思いもしませんでした。
始まりは昭和7年、勤務先の観音崎灯台に若い灯台守が新妻を連れて帰ってくるところから。そこから25年に亘って全国各地の僻地
にある灯台勤務を転々とする灯台守夫婦の、苦労が多くあり、悲喜様々の半生が描かれていきます。
1956年に雑誌掲載された福島県塩屋埼灯台長の夫人(当時)=田中きよの手記を題材に、木下恵介監督が脚本を執筆したものだそうです。

出だしの観音埼灯台(神奈川県)は関東だから未だしも、石狩浜(北海道)、伊豆大島、水ノ子島(豊後水道)、女島(九州の西方にある離れ小島)、弾埼(はじきざき、佐渡)、御前崎(静岡)、安乗埼(あのりざき、志摩)、男来島(瀬戸内海)、御前崎(灯台長として再赴任)、日和山(小樽)と転々する生活は、灯台守夫婦だけでなくその子供たちにとっても本当に大変だと実感します。それ故、灯台守が単身赴任、家族と長い間別居、ということも多くあったらしい。本作品でも、女島時代に一度の別居生活が描かれています。
※灯台守夫婦の名前は有沢四郎、きよ子、子供たちは雪野、光太郎。

撮影では灯台が舞台となるため全国ロケーション撮影が行われたそうです。そのため、日本全国図とともに全国各地の灯台の、四季各々の姿を見る楽しみもあります。まぁそこで暮すことがなく観光気分で観るからこそですが。

主役の一方である佐田啓二(中井貴一の実父)はさておき、高峰秀子さん、本当に良い女優だなと思います。
そして最後のシーン、夫婦2人という原点に戻って新たなスタートをまた切ろうとする2人の後ろ姿が実に良いんだなぁ。

2012.02.04

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