作家・水上勉の料理や食文化に関するエッセイ本を元にした映画とのこと。
主人公のツトムは作家、人里離れた信州の一軒家で一人暮らしをしています。
日々の食事は、自分が畑で育てた野菜や山から採ってきた山菜、それらを自ら漬けて作った漬物。そこにおいては、子どもの頃禅寺に預けられ、小僧としていろいろ料理を教えられた経験が生きている、といった具合です。
妻は13年前に亡くなり、未だ骨壺を遺影とならべて飾っている状況。
寂しそうな一人暮らしという状況ですが、恋人である女性編集者が度々東京から訪ねて来てはツトムが用意する料理に一緒に舌鼓を打っているとあって、華やぎも感じられる日々です。
しかし、妻の老いた義母が死去し、自分も心筋梗塞の発作で倒れる等の出来事を通じ・・・。
予告編を見ると、素朴な料理、でも如何にも美味しそうな料理を楽しむ日々を描いたストーリィと思っていたのですが、観た印象は異なるものでした。
これこそ自給自足の隠遁生活、と思えた次第です。
まぁ、老人ホームに入所して自らは何もしない生活より、自分で動いて四季の変化を愛しみ、それに伴い季節の食材を自ら調理して楽しむ、という方がどれだけ幸せだろうとは思います。
孤独死という恐れも当然ながらあるのでしょうけれど、要は比較、選択の問題なのでしょう。
羨ましく思う面もありますけど、自分にはとても無理だと判る暮らしぶりでもあります。
2022.11.20
|