“スウィングガールズ” ★★☆
(2004年日本映画)

監督・脚本:矢口史靖
出演:上野樹里、平岡祐太、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ、豊島由佳梨、竹中直人、白石美帆、渡辺えり子、谷啓

 

ひょんなことからジャズ演奏にはまってしまった女子高校生たちを描く、学園青春+ブラスバンド・ストーリィ。

舞台は東北地方のとある高校。おちこぼれ女子生徒たちが夏休みに補習授業を受けているところから始まります。
野球試合の応援にでかけた吹奏楽部に間に合わなかった弁当を届けることを名乗り出て、補習をまんまと抜け出す彼女たち。ところが、降りる駅を乗り過ごしたり道草をしたりしたため、痛んでしまった弁当を食べた吹奏楽部員が全員入院するという大騒ぎになってしまいます。
正部員復活までの一時しのぎと、彼女たちが吹奏楽部の応援に狩り出されます。ところがそう簡単に楽器が吹けるわけでもない。補習より楽な筈という当てが外れ、思わぬ奮闘をさせられる羽目になります。
ところがいやいや始めた筈のジャズ演奏にすっかり彼女たちがはまってしまう、というところが楽しい。
正部員復活後吹奏楽部をお役御免になった彼女たちは、諦めきれないと自分たちでビックバンドジャズをやろうと“スウィングガールズ”を結成します。そして最後は、皆で東北学生演奏会参加を目指す、というストーリィ。

スウィングガールズの面々がおちこぼれ生徒ばかりというところに、まず親近感がもてます。そして、そんな彼女たちでも、一旦夢中になれることが見つかれば結構ひたむきになるんだ、というところが嬉しい。つい応援したくなるのです。
また、本ストーリィの主人公と言うべき鈴木友子(テナーサックス)、唯一の男子生徒・中村拓雄(ピアノ)という、2人の存在が抜群に魅力。嫌々やること、好きでやること等々、2人の表情の変化の豊かさに方言でのやりとりの面白さが加わり、とにかく楽しめます。
この2人以外にも、皆から愚図扱いされている関口香織(トロンボーン)、ワイルドな雰囲気のある田中直美(ドラマー)等々、メンバー各々の女生徒たちの存在感もなかなかなもの。
出演メンバー全員、4ヶ月の猛特訓を経て吹き替えなしで演奏をこなしたそうです。本映画が楽しいのも、彼女たちのその努力があってこそでしょう。

なお、高校生が音楽に夢中になるというストーリィとしては「青春デンデケデケデケ」に繋がるものだと思いますが、ブラスバンドを題材にしている点では中沢けいさんの小説「楽隊のうさぎ」を思い起こします。
それらの映画、小説を観て読んだ後でのことですから、なおのこと本作品を楽しむことができたと思います。

楽しめること間違いなし、是非お薦めしたい映画です。

2005.03.18

 
   


  

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