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1.楽隊のうさぎ |
●「楽隊のうさぎ」● ★★☆ |
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2003年01月
2005/01/15
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これは、本当に楽しい少年物語。 小学校でイジメにあっていた男の子が、中学でなんとはなしに入ったのが吹奏楽部。その中で少年は、それまで縮こまっていた自分を伸びやかに成長させていく。 そんなお題目より、この花の木中学校・吹奏楽部に主人公とともに仲間入りしていくことが、とにかく楽しいのです。 この楽しさ!、まず読んでもらわないことには、判ってもらえないでしょう。 小学校でイジメにあっていた克久は、心を灰色に塗り固め、一切から感情をシャットアウトすることに上手になっていた。 単行本の帯にある中沢さんの言葉を一部引用すると、「12歳、13歳、そして14歳の時、私は自分がどんなに輝かしい時期に生きているのかよく知らなかった。人としての伸び盛りの輝かしさに目を開かれたのは親になってからだった(後略)」。 |
●「うさぎとトランペット」● ★★☆ |
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2007年07月
2005/01/22
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題名に「うさぎ」とあり、同じくブラスバンド小説ですが、「楽隊のうさぎ」とはまた趣の異なる小説です。前作のように冒頭から楽しい、というストーリィを期待して読むと、ちょっと戸惑うことになります。 頁数はぐっと増えていますが、目立ったストーリィ展開はない。ブランスバンドとの関わりもなかなか登場しません。 この小説は、小学生の女の子の心の内にとことん踏み込んだ作品なのです。そこにこそ魅力があり、本作品の良さがあります。 主人公は小学5年生の宇佐子。無口で大人しすぎるくらいの女の子ですが、いろいろな音や声に出ない声を聞く、とてもいい耳を持っています(うさぎみたいに)。 宇佐子の世界は3つあります。ミキちゃんを通じて出会ったブラスバンド、そしてその仲間との世界。この世界はどんどん広がっていき、宇佐子やミキちゃんの成長とこれからの可能性を感じさせてくれる世界です。 |