今更言うまでもなく、池波正太郎の人気シリーズ“鬼平犯科帳”の映画化。
“仕掛人藤枝梅安”に続く、池波正太郎 生誕100年記念企画。
高麗屋一家としては、八代目松本幸四郎(祖父)、二代目中村吉右衛門(叔父−播磨屋)に続き、今回は現十代目幸四郎が鬼平こと長谷川平蔵役。
本作を最後まで観て感じることは、やはり原作の良さですね。
一度悪に染まったからといって、鬼平らと残虐な盗賊の頭ではどこが違うのか。人間を描き出している処が池波作品の魅力です。
なお、個人的に、鬼平の映画化あるいはドラマ化が魅力あるのもになるかどうかは、主役である鬼平を誰が演じるかが重要なことは勿論ですが、もうひとつ、密偵を務めるおまさを誰が演じるかも大きなポイントであると思っています。
本作では、おまさを中村ゆりさんが演じていますが、凛とした美しさがあって、魅力的でした。
肝心の松本幸四郎が演じた長谷川平蔵はどうだったのか、というと、まずまず健闘、という処ではないでしょうか。
ただ、申し訳ないけれど、TVシリーズで演じた中村吉右衛門さんとどうしても比較せずにはいられません。
吉左衛門さんが演じた鬼平のような懐の深さを感じられなかった処が残念。ただしそれは、役者としてのキャリアの差なのかもしれません。
2024.05.11
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