“蚤とり侍” ★★ 監督:鶴橋康夫 |
珍妙でコミカルな筋書き、阿部寛という人気者が主役、というのが売り物なのでしょうけれど、私として興味があったのは寺島しのぶさんがどう蓮っ葉な江戸の女を演じるのか、というところ。 期待以上ということはなかったものの、期待通りの達者な演技を味わえてまずは満足だった、という次第。 さてストーリィはというと、藩主の逆鱗に触れ「猫の蚤とりとなって無様に暮らせぇ!」と命じられた越後長岡藩士=小林寛之進が主人公。訳の分からぬまま、猫の蚤とり屋という看板を掲げる店に入って働きたいと願い出ます。 寛之進の全く想像もしていなかったことに、猫の蚤とりとは、実質男が女性に春をひさぐという裏商売のことだった。 やや憮然としつつ仲間と共に江戸市中を歩き始めた寛之進を最初に呼び入れたのは、亡き妻の千鶴にそっくりな妾奉公のおみねという女。 ところが、そのおみねから「下手くそ!」と言われた寛之進、あまりのショックに茫然自失。その後、偶然に知り合ったのが、旗本家から商家に婿養子として入った清兵衛という伊達男。 寛之進、その清兵衛とお互いに協力し合うことにしたのですが・・・。 正直なところ、何故今頃、小松重男さんなのか、と思ったのが第一。 「蚤とり侍」の他、「ずっこけ侍」「川柳侍」とコミカルな侍たちの姿を描いた小松作品が人気を博し、私が幾作か読んだのは1991年のことで、もう四半期以上の前のことですから。 ただ、本作の内容が企業の私物化、現代の内部統制問題に通じることということであれば、時代に叶っているとは言えますが。 ※なお、当時私としては、小説作品より「旗本の経済学」(新潮選書)、「幕末遠国奉行の日記」(中公新書)という実録書の方を評価していました。 2018.05.20 |