“のぼうの城 ★★
(2012年日本映画)

監督:犬童一心
原作:和田竜
脚本:和田竜
出演:
野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、山田孝之、西村雅彦、夏八木勲、鈴木保奈美、前田吟、尾野真千子、市村正親、佐藤浩市

 

ベストセラー小説「のぼうの城」の元になったオリジナル脚本に基づく映画化。映画では小説の面白さには及ぶまいと思ったものの、主役の“のぼう”こと成田長親を野村萬斎さんが演じるということで興味を惹かれ、観に行きました。
戦国時代の合戦ものとなればベテランの時代劇俳優が主力という作品ばかり観ていましたので、本作品で受けて立つ忍城側、責める石田三成側、皆若い役者さん(相対的に)ばかりという点が何より印象的でした。

ストーリィは、豊臣秀吉率いる大軍による北条攻め。その中で支城のひとつ忍城(現在の埼玉県行田市)攻めを命じられたのが、秀吉寵臣の三成。軍功のない三成に実績を残させようという秀吉の配慮でしたが、結果的に北条側で唯一豊臣方が落とせなかったのがこの忍城であったという史実を基にしたもの。

主役の野村萬斎さん、さえない中年男という風体の長親とはイメージが合わないのですが、三成軍勢に向かって湖上船の上で歌い踊るシーンは、やはり萬斎さんならではのものでしょう。
本ストーリィは、本戦場ではなく、片隅における攻防であり、長親はじめ忍城側の武将面々が駄々っ子的発想で戦う、戦わないの重大事を決定してしまうところが愉快この上ありません。
一方、水攻めシーン。CG技術が発展したからこその映像ですが、逆に大袈裟過ぎて嘘っぽさを感じてしまったのも事実。とはいえ、丹精込めた田んぼを武士たちの都合で泥流で無茶苦茶にされた農民の悲嘆、福島原発事故による農地被害を感じさせられて、常に政治側は昔も今も勝手なものだと感じた次第。

原作には及びませんでしたが、それなりに楽しめた作品。

2012.11.04

   
※原作 → 「のぼうの城

   


  

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