中田永一による同名の中編小説の映画化。
二股がバレそうになっている幼馴染の先輩=宮崎瞬から、本命ではない方の彼女と付き合っているふりをしてくれと頼まれた地味な高校生=相原ノボルが主人公。
その相手=百瀬陽の偽彼氏のふりを務めている内、いつしかノボルは恋の辛さを味わうことになります。
百瀬との関係を隠して理想的な彼女である神林徹子と付き合い続けている宮崎瞬、宮崎と神林の仲の良さを目の前に見ながら宮崎先輩を想い続けている百瀬陽、その三角関係を目にしながら嘘をついていることの疾しさと百瀬に惹かれる気持ちの板挟みになっているノボルと、ほろ苦さとスリリングさを併せ持った高校生の初恋物語。
何と言っても百瀬陽という女生徒のキャラクターが本作品の鍵ですが、本で読むのも楽しいのですが、実際に生身の生き生きとした女生徒の姿で百瀬陽を見ることはまた別の楽しさがあります。
その点、百瀬陽を演じる早見あかりが好演していて、佳作に仕上がっています。
ただ惜しまれるのは、久し振りに故郷に戻って偶然に神崎徹子と再会し、当時を回想する相原ノボルの人物設定。
原作では大学を卒業したばかりなのですが、映画では30歳過ぎという設定。
おかげで、本作品の書かれない部分の魅力が消し去られてしまっています。小説の映画化においてはよくあることとはいえ、何故原作の魅力を減じるようなことまでしてしまうのでしょうか。
本作品への好感と同時に残念な思いが残ります。
2014.05.10
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