不思議な作品だなぁ・・・。
南の島にやってきたタエコ、彼女が予約を入れていたのは小さな民宿ハマダ。
このハマダが不思議。タエコは客の筈なのに、朝食・夕食は民宿の主人ユージや正体不明の女性サクラと一緒。さらに島で生物の教師をしているらしい若いハルナまで加わり、まるで家族団らんの場に迎え入れられたような具合。
おまけにタエコが目覚めると、足元にはサクラが座っていて、御飯ですよ、と声をかけるのが常。
この宿は何かオカシイと、タエコが宿を変えようとするのも無理ないところ。
この宿は何故こんな風なのか、タエコはどんな女性で何故こんな何もない島に、何を求めてやってきたのか。ストーリィは当然それを語っていくものだろうと思うのですが、最後までそれは全く・・・・語られない(幕切れ、観ていた人の殆どは唖然としていたかもしれません)。
何か不思議な作品なのですけれど、それでも気分は好く、楽しい。
タエコが何もせず、日がな一日海辺で海を眺めている姿、それが一番印象に残ります。
画面いっぱいに広がる青い海、南洋の海らしく明るく透き通っていて、とてもきれいです。寄せる波の音がとても快い。まるで、海の心地よい香りまで感じられるようです。
題名の「めがね」、ストーリィのうえで眼鏡に関わる部分はなく、登場人物が一様に眼鏡をかけている、というぐらいか。
でも、眼鏡ぐらい、南洋の島に似つかわしくないものもないのではないでしょうか。試しに眼鏡を外してみたら、何か違うものが見えてくるのかもしれません。
※「かもめ食堂」に続き、食事風景が楽しそうです。
そしてそれよりもっと楽しそうなのは、さくら考案という“メルシー体操”。
とても気持ちが良さそうなんです。それをもたいさんが実に綺麗に演じるところがお見事。さすが役者だなぁ。
2007.09.22
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