“永遠の0” ★★☆
(2013年日本映画)

監督:山崎貴
原作:百田尚樹
脚本:山崎貴、林民夫
出演:
岡田准一、三浦春馬、吹石一恵、井上真央、風吹ジュン、夏八木勲、新井浩文、染谷将太、三浦貴大、上田竜也、田中泯、山本学、平幹二朗、橋爪功

  

百田尚樹のデビュー作にしてベストセラーとなった「永遠の0」の映画化。
勧められ、いつか機会を見つけて読んでみようと思いながら未だ読むに至らず、結局映画をまず観ることとなりました。

祖母=松乃の葬儀の後、主人公の健太郎は親しんできた祖父が本当の祖父ではなく、本当の祖父は宮部久蔵という人物で、零戦パイロットとして太平洋戦争中に特攻で死んだことを初めて知り驚きます。
そこから健太郎は祖父の勧めもあって、姉の慶子と共に宮部久蔵がどんな人物であったか、当時の久蔵を知る人間に会って話を聞き始めます。ところが、会った人物たちの口から出た久蔵の評判は、帝国海軍きっての臆病者、恥晒しと思わぬものだった。意気消沈する2人でしたが、末期がんで入院中の井崎老人に面会した2人は、井崎から宮部久蔵は海軍きっての名パイロットだった、そしていつも生きて還ってくることを一番に考えるパイロットだったと聞かされます。そこから、宮部久蔵の人物像が思い出として語られていきます。

反戦というより、太平洋戦争中の海軍航空隊の考え方、ことに特攻への強い批判を含んだ戦争ストーリィと言って良いでしょう。
こうした内容は私にとって特に目新しいものではなく、阿川弘之「米内光政」「井上成美」でも語られていたこと。それら阿川作品が戦争指導層に主体を置いていたのに対し、本ストーリィは一人の零戦パイロットに視点を置いたところが斬新だったと思います。「生きて還りたい」と口にした零戦パイロットを主人公にするという発想は、太平洋戦争から時間が経った今だからこそ可能になったのだろうと思います。
ストーリィ内容とは別に、映画技術の進歩により、リアルな交戦シーンがふんだんに盛り込まれている処にも見応えあり。
また、生と死のはざまで当時生きた若い人たちの必死な姿が印象的。主演の岡田准一はじめ、出演者全員の熱演が光ります。
お薦めです。

2013.12.21

         


  

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