“コーヒーが冷めないうちに” ★☆ 監督:塚原あゆ子 |
ベストセラー小説「コーヒーが冷めないうちに」の映画化作品。 原作を読んでいないのでこの程度しか言えませんが、あぁこうしたストーリィか、というのが全て。 時田数(かず)のおじが営む喫茶店“フニクリフニクラ”には不思議な都市伝説があった。 それは、店内のある席に座って数が淹れたコーヒーを飲むと、望んだ過去の時間に戻れるというもの。ただし、過去に戻れるのはコーヒーを飲み干すまで。そして、どんなことをしようと今の現実を変えることはできない、ということ。 さらに重要なことは、コーヒーが冷めるまでに飲み干さないと、現在に戻れず幽霊のような存在になってしまう、ということ。 それでも、過去のある時間に思いを残す客たちが、その席に座る機会を迷いながら窺っているというのが、本ストーリィの舞台設定。 しかし、その席にはいつも同じ女性が、本を読みながらいつまでも座り続けている。彼女はいったい・・・・。 僅かの間だろうと、過去に戻れるというところがミソ。 現実を変えられなくても、後悔する気持ちを変えることはできるのかもしれない、そしてそれは、これからの未来を変えることができるのかもしれない。 原作に較べると、かなりストーリィを端折って、短くまとめているようです。 でもそのコーヒーを淹れる数の、様々な姿、口ぶりが印象に残り、主演の有村架純さんに好感。 本ストーリィ、辻村深月原作「ツナグ」と共通する処があるように感じます。 僅かの間だけ過去に戻れる、一晩だけ死んだ人に会うことができる、だからといって過去に起きた現実を変えることはできない。 ただ、「コーヒー」では相手との未来を変えることができますが、「ツナグ」では相手が死去しているだけに未来も変えることはできない。その点で「ツナグ」の方が重く感じますが、あっさりしたところがあるのもまた本作の味わいなのかもしれません。 2018.09.24 |