吉田修一、同名小説の映画化。
主人公の桃子(江口のりこ)は平凡な主婦。
夫の真守(小泉孝太郎)と、隣の家に住む義母の照子(風吹ジュン)に一生懸命尽くしているという印象。
それなのに、義母と間には少し距離が感じられるし、夫の桃子に対する態度はいつもそっけない。まるで孤軍奮闘の様です。
そして桃子自身にも、自分を抑えつけているような雰囲気があって、そもそも不穏さが感じられる状況。
そうした中、夫が唐突に桃子に告げたのは、不倫相手が妊娠した、彼女とあって欲しい、ということ。
そこから桃子の暴走が始まります。
いったい、この家族にはどんな経緯があったのか・・・まるでサスペンスのような展開です。
桃子は、義母にも疎まれ、夫には若い女に乗り換えられ、石鹸手作り教室の講師という仕事も失ってしまう。でも、・・・・・。
この映画のストーリーだけでは、桃子がどういう思いを抱えていたのか、最後に彼女は救われるのか、という肝心の点を理解するのが難しいように感じます。
私は映画を観る前に、原作を以前読んだ時に書き留めたあらすじを見返してからみたので分かりましたが、原作にはあった重要なパーツのひとつが描かれていないことが、理解を難しくしている気がします。
桃子の夫である真守という人物がろくでもない男。結婚したらもう興味がもてない、不倫大好きという男なのでしょう。
どうしようもない男、息子という点では、義母も桃子と共感できるのでしょう。
そこが救いです。
2024.08.30
|