1999年3月
河出書房新社刊
(2200円+税)
1999/04/18
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副題は「ロンドンで一番魅力的な広場」というもの。
確かに、Covent Gardenというと、真っ先に思い出すのは映画“マイ・フェア・レディ”。主人公の花売り娘イライザが登場する舞台となる場所です。
このコヴェント・ガーデンは、イタリア諸都市に倣って3世紀以上も前に作られた広場だそうです。この広場の周囲には、政治家、貴族、学者、文士と様々な人々が住み、時に洒落た住宅街として、時に悪名高い歓楽街として、そしてその殆どの期間を野菜果物市場として、多くの人やものを集めてきた場所だとか。
“マイ・フェア・レディ”の原作であるバーナード・ショー「ピグマリオン」の他にも、この広場は多くの文学作品中の舞台となってきました。
本書は、コヴェント・ガーデンを舞台のひとつとした数多くの文学作品を紹介しつつ、その中でどんな重要な役割を果たしていたかを語ってくれます。そして、コヴェント・ガーデンを中心に、楽しいロンドンの散策に読者を誘ってくれます。
「サミュエル・ピープスの日記」、フィールディング「大盗ジョナサン・ワイルド伝」「トム・ジョーンズ」、クレランド「ファニー・ヒル」。
そして何よりも、ディケンズ「ピクウィック・クラブ」「骨董屋」「ディヴィッド・コパフィールド」「リトル・ドリット」「荒涼館」等々。
更に散策に出れば「チャリング・クロス街84番地」の話題。
まさに、フィールディングやディケンズのファンにとっては、楽しい一冊です。
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