1997年発表
1999年3月
青土社刊
(2800円+税)
1999/07/06
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19世紀、ヴィクトリア朝のロンドン。書物はまだ貴重品であり、富裕な人間は別として、一般大衆は3巻本方式の作品を1冊ずつ貸本屋で借りて読むのが常でした。
そんな舞台に登場してきたのが、チャールズ・ディケンズ。彼は、初めて分冊方式による定期発行の連続小説を書き始める。その作品こそ、彼の処女作「ピクウィック・クラブ」です。これを境に、小説の売上・需要が伸び、
大量印刷が可能となって、一気にイギリス社会において小説は大衆の手の届くものに変わっていきます。
当時の読者の熱中度を想像すると、ちょうど日本でNHKの朝の連続テレビ小説が始まったようなものと思うのですが、あたらずとも遠からずでしょう。
ディケンズと時代を同じくして登場してきたのが、ブロンテ姉妹であり、サッカレー、ジョージ・エリオット、トマス・ハーディらです。
まだ、小説家という職業が確立せず、本名で作品を発表するのもディケンズが初めてという時代。それぞれの作家が登場する経緯を知ること、それは即ち当時のイギリス社会における、小説本の出版背景を知ることに他なりません。
それぞれの作家の私生活、当時の出版事情がつぶさに語られており、ディケンズらのファンなら、見逃すには勿体無い本です。
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