辻堂ゆめ作品のページ No.1


1992年神奈川県生、藤沢市辻堂出身。中1から高1までを米国で過ごし、東京大学法学部卒。IT通信会社勤務。大学在学中の2014年「夢のトビラは泉のなかに」にて第13回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞を受賞し、翌年同作を改題した「いなくなった私へ」にて作家デビュー。18年結婚を機に退職し専業作家に。22年「トリカゴ」にて第24回大藪春彦賞を受賞。


1.いなくなった私へ

2.コーイチは、高く飛んだ

3.あなたのいない記憶

4.悪女の品格

5.僕と彼女の左手

6.片想い探偵 追掛日菜子

7.今、死ぬ夢を見ましたか

8.お騒がせロボット営業部!

9.君の想い出をください、と天使は言った

10.卒業タイムリミット

ヒマワリ高校初恋部!、あの日の交換日記、またもや片想い探偵追掛日菜子、十の輪をくぐる、ようこそ来世喫茶店へ、トリカゴ、二重らせんのスイッチ、君といた日の続き、答えは市役所3階に、サクラサクサクラチル

 → 辻堂ゆめ作品のページ No.2


山ぎは少し明かりて

 → 辻堂ゆめ作品のページ No.3

 


                 

1.

「いなくなった私へ ★★☆    「このミステリーがすごい!」大賞 優秀賞


いなくなった私へ

2015年02月
宝島社刊

(1500円+税)

2016年02月
宝島社文庫化



2017/09/28



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人気シンガーソングライターの上條梨乃=20歳が目覚めると、そこは路上のゴミ置き場だった。
困惑するまま歩き出し、渋谷のスクランブル交差点に至った梨乃は、そこで「上條梨乃が飛び降り自殺」というニュースが大きく報道されているのを目にします。何故? 自分はここにいるのにどういうこと? しかし、広く顔を知られている筈なのにもかかわらず、通り過ぎる人の誰も、自分を上條梨乃と認識していない様子。
そうした中でたった一人、上條梨乃さんですか、と声を掛けてきたのは大学2年生の
佐伯優斗=21歳

否応なく優斗の世話になり、その
姉なつみの部屋に居候することになった梨乃ですが、ある日彼女を梨乃と認識するもう一人の人物に出会います。それは10歳の少年=立川樹
いったい梨乃の身に何が起きたのか。そして、梨乃はどう生きていけばいいのか・・・。

これってホラー? オカルト、SF、それともミステリ?
まったく驚くべき出だし。そしてそれは、頁をいくら読み進もうとその状況は何も変わりません。夢でもなかった・・・。

いったい何が起きたのか。そしてそれは何故起きたのか。
それを明らかにしようとストーリィは進んでいきます。その一方で、居場所を失った梨乃が優斗支えられつつ、
田代実加という名前で新たな一歩を踏み出した辺りは、青春&再生ストーリィと言って良いでしょう。
そして終盤、ストーリィは一気にミステリ、その謎解きという展開へ。

ジャンルとしては確かにミステリでしょう。でも本作の魅力はミステリ以上に、梨乃と悠人の2人から匂い立つ、青春譜らしい香りにあります。
遅くはなったものの、デビュー作である本書を読んで良かった、と心から満足です。
もし未読の方がおられたら、是非お薦めです。


第1部.出会い/第2部.泉の謎/第3部.生と死/第4部.二度目/エピローグ

           

2.
「コーイチは、高く飛んだ ★☆


コーイチは、高く飛んだ

2016年03月
宝島社刊
(1480円+税)



2016/05/08



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デビュー2作目となるスポーツミステリ。
前作の
「いなくなった私へ」は未読なので、比較してどうかは言えません。

冒頭、ある一家の家庭風景からストーリィは始まります。幼い子供たちが伝説化した体操選手“コーイチ”のビデオを夢中になって見ているのを、体操の関係者だったらしい父親は苦虫を潰したような目で見ており、母親は子供たちが望むなら体操競技をやらせてあげたいと思っている。
その現在を幕間に挟む形で、10年前、そのコーイチこと結城幸市が高校生ながら器械体操界期待の新星として注目された当時に起きた事故のことが語られていきます。
その事故とは、幸市と一緒に父母がコーチを勤める
鎌倉ジュニア体操クラブに一緒に通っていた妹=似奈が歩道橋の階段から転落し、意識不明のまま植物人間状態になってしまったこと。
一応は体操選手だった似奈が転落したからと言ってそんな重傷を負う訳がない、何か事件的なものがあったのではないか。さらにその直前、幸市の身辺にも不審な出来事が続いていた・・・。

第2作にしてスポーツミステリ、しかも器械体操という決してポピュラーではない種目を舞台設定として選んだ点については高く評価したいところですし、思いがけないことから徐々に真実が明らかになっているという展開は読み応えがありました。
その一方、そもそも転落事故を事件として扱うことへの違和感、たまたまの偶然で真実への道が開かれるという辺りは、もう一つすっきりしない気持ちが残ります。

辻堂ゆめさんへの期待感は変わりませんが、本書について納得できるかどうかは読み手の好み次第ではないかと感じます。

1.夏のサンタと事故/2.同窓会と底/3.試技と告白/4.白い悪意と八月

           

3.
「あなたのいない記憶 ★★


あなたのいない記憶

2016年11月
宝島社刊

(1280円+税)

2017年11月
宝島社文庫化



2019/02/15



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東慶大学に入学した新見優希は、新入生入部勧誘の最中、子供の頃に絵画教室で一緒だった岡本淳之介と、思いがけなくも再会します。
懐かしさのあまり、絵画教室で遊び相手になってくれた
寿美子先生の息子であるタケシとの思い出について語り合うのですが、何故か2人の記憶が食い違っていることに気づきます。

2人は、絵画教室の先輩である
吉江京香に連絡を取り、事実を確認しようとするのですが、京香もまた幼馴染であったタケシに会いたいと強く願っているにもかかわらず、ずっと会えない状態が続いていた。

何故、記憶は食い違っていたのか。タケシという人物の本当の姿は何なのか・・・。
そんな3人の謎解きに力を貸そうと手を差し伸べてくれたのは、カウンセラーの
晴川あかり

同じ時を過ごした筈の2人の記憶がまるで違っている、その切り口がユニークですし、とても面白い。
ただ、その理由はあっけなく晴川あかりによって解明されます。

本作の魅力は、前半のミステリとしての謎解きより、その後のストーリィ展開にこそあります。
何と懸命で、何と熱く、そして何と切ないタケシの生であることか。
ミステリの仕掛けより以上に、切ない究極のラブ・ストーリィ。読了後もその心の震えは、いつまでも消えませんでした。

所詮好み次第かもしれませんが、本作、私は好きです。


1.キングのだいぼうけん/2.晴川カウンセリング室/3.嘘がきこえた日/エピローグ.あかりノート

              

4.

「悪女の品格 ★★


悪女の品格

2017年07月
東京創元社刊

(1700円+税)

2020年08月
創元推理文庫



2017/08/27



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主人公の光岡めぐみ、29歳。実に嫌な女である。
小学校時代はクラスの女王として君臨し、同級生の大人しい男子を標的にして悪質なイジメ。
現在は同時進行中の恋人が3人と三股をかけ、各々から高級ブランド品を貢がせ、一部はリサイクルショップに売り払って贅沢に暮らすための一部にしているといった具合。しかも3人の恋人は皆、小学校時代の同級生だというのですから呆れ果てます。

そのめぐみが見知らぬマンションのゴミ置き場に一晩閉じ込められた、というところからストーリィは幕を開けます。
そしてかつて、めぐみが男子同級生に行っていたイジメそっくりの出来事が、次々とめぐみの身に降りかかってきます。予告する脅迫状と共に。
そんなめぐみが偶々参加した婚活パーティで知り合ったのが、イケメン大学准教授の
山本正志。その山本相手に現在見舞われている危難を語った処、犯人探しを手伝おうと山本が申し出てくれるのですが・・・。
一体、犯人は誰? 何が目的なのか? そして山本正志という人物は信頼して大丈夫なのか?

主人公が実に嫌な女であることから、悪質とは思いつつ、そんな目に遭うぐらい仕方ないよなと感じてしまうのですが、めぐみという人物の背景が判って来るにつれ、本ストーリィへの思いも変っていきます。
恋人3人を前にすると気取った振る舞いをしているめぐみが、山本の前では何と正直に本来の自分をさらけ出していることか。正直なめぐみに対して(嫌な女であるとは思いつつ)、好意を感じてしまうのです。
本作の魅力は、めぐみと、かつて執拗にイジメていた男子との、お互いへの、そして同時に自分自身との和解ストーリィとなっている処にあります。
失敗してもいい、やり直せばいい。あたかも第二の青春期ストーリィといった読後感が、何とも好ましい。


1.監禁の後は、理科の実験/2.実験の後は、塗りつぶし/3.塗りつぶしの後は、消毒液/4.消毒液の後は、冷たい冬の池

             

5.
 「僕と彼女の左手 ★★


僕と彼女の左手

2018年01月
中央公論新社

(1600円+税)

2021年03月
中公文庫



2018/02/11



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10年前に遭遇した列車事故のトラウマにより病院実習で壁にぶつかってしまった医学部5年生の時田習(しゅう)が本ストーリィの主人公。
病院実習を逃れ、大学棟の屋上で漫然と過ごしていたその習の前に突然現れたのが、
清家さやこという女の子。
キャンパス見学に来たが道に迷ったという彼女に、行き先の教育学部棟まで付き合って欲しいと頼まれ応諾したところ、さらに受験勉強まで見てほしいと頼まれ、一緒に構内の図書館へ。
そのさやこ、小児脳性麻痺により生まれつき右腕が動かないというのに、左手一本で見事にピアノ演奏をしてのけます。

右腕が不自由だというのに明るいさやこに惹かれた習は、そのまま彼女と付き合うようになりますが、そのうち、彼女のことについて気になることが・・・。

青春恋愛ミステリというべき作品ですが、本格的というまでには至らず、小ストーリィ、小ロマンス、小ミステリと言うのが相応しい処と思います。
それでも、主人公2人の健やかさが空を突き抜けているようで、とても気持ち良い。軽やかな印象もむしろそれに似つかわしいと言えます。
私としては、この作品、好きです。

悪女の品格後に、雰囲気を一転させた作品を書いたところに好感です。

プレリュード〜前奏曲〜/第一曲 出会い/第二曲 僕の左手/インターリュード〜間奏曲〜/第三曲 光と影/第四曲 彼女の左手/ポストリュード〜後奏曲〜

               

6.
「片想い探偵 追掛日菜子 


片想い探偵 追掛日菜子

2018年06月
幻冬舎文庫

(690円+税)



2018/08/06



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軽快な連作もの日常ミステリ。
然してその探偵役は誰かというと、合法ストーカー?といったキャラクターの女子高生=
追掛日菜子

日菜子、誰かをいろいろ好きになっては、その都度ネット情報を調べ上げ、抜群の集中力と推理力を発揮して追跡したり、その知人アカウントを偽装して個人情報まで把握したりと、まるでストーカーそのもの。
心配する兄の
翔平に対し、個人的に迷惑を掛けたりしないポリシーはしっかり備えていると弁明。

その日菜子が好きになった相手にトラブルや事件が発生するや、ファンとして放っておけないとばかり、ストーカー情報力および技術を駆使して真相を見破り、相手を救済するというのが本連作ミステリの趣向。
主人公となるのは、その都度日菜子に引っ張り出され、パシリ扱いされているヒマな大学生である翔平。
まぁ、殺人事件から不倫疑惑、テロ予告に、誘拐事件等々、ごくフツーの女子高生がここまでやるとはねぇー。
ストーカー体質、恐るべし、です。

ただ、はにかみ屋の日菜子、遠くから「推し」を見ているのが良いのであって、直接触れ合ってしまうとかえって興覚めなのだとか。そのため「推し」相手が年中コロコロ変わるというのが連作たる所以。
旅行中、合間合間に気軽に読むのには良かったのですが、その分読む集中力に欠いていたかもしれません。
もしかすると、評価が低くなったのはその所為かも。

本シリーズ、連作ものになるかもしれませんね。楽しみ。

「推し」とは、自分が支持、愛好している対象のことだそうです。例えば、「お気に入りのアイドルグループで○○のイチ推しメンバーは・・・・」とか。

1.舞台俳優に恋をした。/2.お相撲さんに恋をした。/3.天才子役に恋をした。/4.覆面漫画家に恋をした。/5.総理大臣に恋をした。

                 

7.
「今、死ぬ夢を見ましたか Did you just dream of dying? ★★


今、死ぬ夢を見ましたか

2019年03月
宝島社文庫

(780円+税)



2019/08/24



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久しぶりに読んだ、辻堂ゆめさんらしい、設定に妙のあるミステリ。

主人公の
井瀬巧は電車の中で、親友の五味渕と共に何者かにホームから突き落とされて死ぬ、という夢を見ます。
それが普通の夢と違うと感じたのは、その光景がいやにはっきりしていて、かつ目が覚めても忘れずにいること。
そしてさらにもう一つ、小学校時代に同級生だった
粕谷拓実を自分が刺すという夢も。
そして、動揺を隠せないでいる井瀬の隣に座ってきた女子高生から、「明晰夢ではなかったか」「電車にぶつかって死んでしまう夢ではなかったか」と言い当てられます。
片岡紗世と名乗る彼女は、自分もホームから転落し電車に轢かれて死ぬ明晰夢を何度も見たと井瀬に打ち明ける。

井瀬は酒乱の父親を殺した罪で少年刑務所に5年間入所し、出所してまだ半年。
高校時代の不良仲間であった五味渕は今や、貧困家庭の子供たちと富裕な高齢者を結んで奨学金を提供するNPO法人を主宰しており、井瀬は現在その五味渕の元で営業の仕事をしている。

そんな自分と五味渕が何故殺されなければならないのか。また、優等生で今は一流企業社員である粕谷を何故刺すに至ったのか。
そこに至るまでに何があったのか、こそが本作での謎。
そして謎解きは、主人公自身が、夢でみたその日に向かって進行していく現在の中で行っていくという、滅多に見られない構造のミステリ。

ある意味、切ないミステリですが、最後に辻堂さんが加えてくれた光景がそんな胸の内を癒してくれます。

好みの問題はあろうかと思いますが、辻堂ゆめさんのこうしたミステリ、私は好きです。


1.最期の日/2.選択/3.明晰夢の向こう

        

8.
「お騒がせロボット営業部! 


お騒がせロボット営業部!

2019年07月
文春文庫

(660円+税)



2019/08/12



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コミカル味たっぷりのSF風連作ミステリ。

主人公は社会人2年目、メガシステムテクノロジー社で
人型ロボット“パティ”の販売営業を担当する外崎朝香
しかし、そのパティ、ロボット好きの社長が思い付きで開発を命じたもの。予算も圧倒的に少なかったため、機能も貧弱。
という訳で、朝香らは営業に奮闘するものの中々販売成果に告げられず、という状況。

そうした状況下、試行として貸し出した先で、パティがいろいろと問題を起こします。
失踪したり、高級外車に傷をつけたり、振込詐欺に加担したり、さらには殺人?まで。
本当にパティが引き起こした事件なのか。真相を明らかにするため、朝香をはじめ、パティ開発担当の
内藤怜央らが奔走する、という構成の連作ミステリ。

ただなぁ、パティというロボットがあまりにお粗末で、コミカルを越えてバカバカしくなるくらい。
そこからスタートするので、もうひとつノリ切れないという印象をぬぐえず。
ちょっと残念です。


プロローグ/1.パティ、失踪する/2.パティ、外車をダメにする/3.パティ、詐欺に加担する/4.パティ、殺人する/エピローグ

              

9.
「君の想い出をください、と天使は言った ★★


君の想い出をください、と天使は言った

2019年08月
角川文庫

(640円+税)



2019/09/27



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このところ私にとっては物足りない感じが続いていた辻堂ゆめ作品でしたが、本作は私の好みピッタリの恋愛ミステリ。

主人公は
河野夕夏。接客中に突然倒れ、救急搬送された病院で告げられた病名は、なんと脳腫瘍。
摘出手術後、良性か悪性かの検査結果が出る前の夜、夕夏の前に一人の青年が姿を見せます。
その青年、自分は「悪魔」であると名乗って夕夏に、命を助ける代わりに君の大切な2年間の記憶をもらう、と告げます。
翌日、検査結果は悪性から良性に変っており、そして夕夏は2年間の記憶を失っていた・・・。

銀行の支店という職場で2年間の記憶を失うということがどれ程のことなのか、夕夏は身をもって味わうことになります。
一方、悪魔だという美青年は
「水上俊介」と名乗り、アフターフォローだからと夜に度々、夕夏の部屋の外から見守っている風。

失った2年間の記憶の中には自分にとって大事なことがあったのか、自分に彼氏はいたのか・・・・、そして水上俊介とは何者なのか?
次第に夕夏の胸の中には、水上俊介に対する好意が膨れ上がっていきます。

当然ながら色々な人たちが登場します。担当の医師、看護師、職場の上司、後輩社員、夕夏の家族・・・。その人たちにとって夕夏とはどういう存在なのか、それも一つのミステリなのかもしれません。

途中の展開、そして謎が明らかになる結末、その楽しさ・・・こういう恋愛ミステリ、好きなんですよねぇ。


プロローグ/1.想い出を食べた天使/2.星を奪った雨/3.天使が生まれた日/エピローグ

             

10.
「卒業タイムリミット GRADUATION Time Limt ★★☆


卒業タイムリミット

2019年11月
双葉社

(1500円+税)



2019/12/19



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私立欅台高校、その卒業式を目前に控えた日、若い人気英語教師の水口里紗子が拉致監禁され、その監禁動画がネットにアップされるという驚くべき事件が起きます。
そしてその当日、4人の3年生に
「誘拐の謎を解け。真相は君たちにしか分からない」という手紙が届く。
手紙の指示に従って集まったのは、不良生徒だった主人公=
黒川良樹(1組)、スポーツ万能の萩生田隼平(5組)、校内一の美少女=小松澪(7組)、学年一の才女=高畑あやね(2組)の4人。

事件は、誰が何のために起こしたのか。4人に対する謎かけのような手紙の目的は何か。そして、生死のかかる72時間以内に水口を救出することができるのか。
これまで何の接点もなかった黒川たち4人ですが、このまま放っておけないと行動を始めます。

卒業式目前という設定、私立高校が舞台、究極の学園ミステリ。
衝撃的な事件に挑戦的な設定、
暁の死線の如きタイムリミット。そのストーリィ中に何の意味か、小菅理事長発案による数人生徒の「告白カード」が挿入されます。

三日目、犯人は多分・・・という推測が付きます。
でも本書の真価は謎解きではなく、その真相、犯人の目的、その理由にこそありました。まさに驚天動地!
・・・・これぞまさしく青春の一幕だなぁ。

新たな友人という繋がり、そして最後を卒業式で締めくくるという爽快なエンディング。
青春学園ミステリの快作といって間違いない佳作です。お薦め。


一日目/二日目/三日目/そして、卒業の日

    

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