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1.アイオーン 2.カラマーゾフの妹 3.まぜるな危険 4.ビブリオフォリア・ラプソディ |
●「アイオーン」● ☆ |
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SF歴史叙事詩とでも言ったらよいのでしょうか。 ストーリィは13世紀暗黒時代のフランスから始まります。 プロローグ/エクス・オペレ・オペラート/慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において/栄光はことごとく乙女シオンを去り/太古の王、過去の王にして未来の王/S.P.Q.R/トランペットが美しく鳴り響くところ/エピローグ |
●「カラマーゾフの妹」● ★☆ 江戸川乱歩賞 |
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2014年08月
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江戸川乱歩賞受賞ということで読んでみた一冊。 原作では、3兄弟の父親フョードルが殺され、裁判で長男ドミートリーが犯人とされシベリア流刑されましたが、彼は真犯人だったのか。本作品は、内務省で未解決事件の特別捜査官となっている次男イワンが、事件の再捜査を行うというストーリィです。 いわゆる他作家による「続編」ものですが、内容が真犯人探しに絞られているため、続編というよりも、高野さんによる真犯人推理を小説化した作品という印象です。 高野さんの結論については、原作の向こうを張る以上そうなるよなぁとは思うものの、納得感は殆どありません。 |
「まぜるな危険」 ★★ | |
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名作を幾つか集め、まとめてミキサーに投入してかき混ぜる。 そしてガラガラポン、と出てきたストーリィは一体どんなものになっているのか。 本書はそんな面白さを楽しめる一冊。 ただし、そういうことなので、かき混ぜられた作品を読んだことがあれば楽しめますが、知らない作品が混じっているとその面白さが分からない、というのは致し方ない結果。 その意味で私が存分に楽しめたのは、次の2篇。 ・<小ねずみと童貞と復活した女> 材料作品は、ドストエフスキイ「白痴」、ベリャーエフ「ドウエル教授の首」、キイス「アルジャーノンに花束を」。 この篇は「ドウエル教授の首」が基本軸になっているのですが、とても面白かったです。 ・<プシホロギーチェスキー・テスト> 材料作品は、ドストエフスキイ「罪と罰」に、江戸川乱歩もの。 ・<桜の園のリディヤ>に関しては、チェーホフ「桜の園」、ウェルズ「タイムマシン」は既読であるものの、残念ながら肝心の佐々木淳子の短篇コミック「リディアの住む時に・・・」を全く知らなかったため、今一歩。 なお、残りの3篇は次のとおりです。 ・<アントンと清姫>:歌舞伎「京鹿子娘道成寺」+α。 ・<百万本の薔薇>:ソ連時代末期のヒットソング“百万本のバラ”+α。 ・<ドグラートフ・マグラノフスキー>:夢野久作「ドグラ・マグラ」、ドストエフスキイ「悪霊」。 アントンと清姫/百万本の薔薇/小ねずみと童貞と復活した女/プシホロギーチェスキー・テスト/桜の園のリディヤ/ドグラートフ・マグラノフスキー |
「ビブリオフォリア・ラプソディ−あるいは本と本の間の旅−」 ★ Bibliofolia Rhapsody or the Journey Between the Books and the Books |
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本にまつわるストーリー、5篇。 奇想、未来、等々。 しかし、残念ながら特段面白いとは思えず。 ・「ハンノキのある島で」:未来ストーリー。 <読書法>が施行されて5年。紙の本が多く読まれるようになったが、その一方、<古典>あるいは<保存書籍>に指定されない本は6年経つと廃棄されてしまう。その中で、主人公=久子の作品は生き残れるのか。 ※エラリー・クイーンにちょっと関連するストーリー。 ・「バベルより遠く離れて」:翻訳が困難なマイナー言語=南チナ語で書かれた作品の翻訳に、主人公は苦悶するばかり。 ・「木曜日のルリエール」:文芸評論家兼大学非常勤講師の森祐樹、学生時代に卒論という現実回避のたま執筆、しかし廃棄したはずの作品が書店店頭に並んでいるのを見て驚愕。一体、何が起きたのか? ・「詩人になれますように」:祖母が言い残した言葉どおり、一時詩人として人気を博したが、今は田舎の中小企業で地味な事務員をしている詠美、2つ目の願いは叶うのか。 ・「本の泉 泉の本」:あらゆる古書が揃っているかのような古書店、四郎は友人の敬彦と共に本を漁っている。そうした中で起きた出来事は・・・。 プロローグ:ダブルクリップ/ハンノキのある島で/バベルより遠く離れて/木曜日のルリエール/詩人になれますように/本の泉 泉の本/エピローグ:ダブルクリップ再び |