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C-1.惑星童話 C-2.キル・ゾーン C-3.女子高サバイバル C-4.女子高サバイバル−純情可憐編 |
【作家歴】、ゲームセットにはまだ早い、紺碧の果てを見よ、革命前夜、雲は湧き光あふれて、神の棘、くれなゐの紐、エースナンバー、帝冠の恋、また桜の国で、夏は終わらない |
夏の祈りは、夏空白花 |
「惑星童話」 ★★ コバルト・ノベル大賞読者大賞 |
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須賀しのぶさんのデビュー作。そうであれば一応は読んでおきたい、というのが読書の理由です。 |
「キル・ゾーン−ジャングル戦線 異状あり− KILL ZONE」 ★★ | |
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“コバルト文庫”のイメージからはちょっと想像できないストーリィ。何しろSF+戦闘バトルなのですから。 時代は23世紀。荒れ果てた地球を離れ富裕者たちは月に移住。 しかし、支配者層がいなくなって荒廃した地球に介入、傀儡政府を打ち建て傭兵部隊を集め、地球を支配しようとします。 <月面都市>側の地球支配に対抗して立ち上がり、ゲリラ戦法を展開する反政府勢力が<レジスタンス>。 その説明だけを聞くと、主人公はレジスタンス側と思えるのですが、月面都市側。8年間の任期を務めあげれば多額の報奨金と月面都市の市民権を与えるというのが、月面都市側の傭兵たちに対するエサ、という次第。 さらに月面都市から独立した火星都市の暗躍もあるらしい。 主人公は、若い女性ながら抜群の戦闘能力を発揮して分隊長の地位にあるクリストファー(仮名)・キャッスル曹長。「最も扱いづらい下士官」というのが彼女への評価で、誰からも女性扱いされていないというキャラクター。 彼女の朋輩がこれまた戦闘能力が高い一方、女性関係ではやりまくりという、副隊長のアレクサンドル・エイゼン軍曹。 上記2人とアブドゥル伍長が、戦場に取り残されてレジスタンス側の人質になった仲間を救出に向かうというのが本書ストーリィなのですが、月面都市出身で能無しの小隊長から与えられた応援兵はいずれも問題を起して“懲罰房三人組”と言われるラファエル、シドー、バカリー。 さて、ジャングルにおいて戦闘バトルが展開されることやら。 コバルト文庫作品とはいえ、キャラクター造形ならびにリアルな迫力が際立っています。つまりは、須賀しのぶさんの筆力の故といって過言ではありません。 この魅力は、シリーズものとしてたっぷり堪能しないと勿体ないだろうなぁと思った処、本編だけで17巻あるうえに様々な番外編もあるのだとか。それも当然のことと思う次第です。 序/1.治安部隊/2.下士官組/3.全員集合/4.初戦闘/5.プライド/6.鋼の牙/7.危険区域/8.殺傷区域 |
「女子高サバイバル」 ★★ |
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コバルト文庫と軽視する勿れ。 多少そういう思いが無きにしも非ずでしたが、予想外の面白さ。 現在の須賀しのぶさんに繋がる骨太さを、本ストーリィでも感じることが出来ました。読んだだけの収穫はあり。 主人公の児島桐子(とうこ)は中学時代をバスケ部の猛練習で明け暮れた所為か、帰宅部を守り優雅な高校生活を送ろうと夢見る少々能天気な埼玉県立成島女子高校の一年生。その桐子の憧れは、聖マルガリータ女学院の制服を着ること。 同級生の楠翠(みどり)の姉=要(かなめ)がグラウンドホッケー愛好会の設立者、その要からマルガリータとの交流、合同練習もありと聞いた桐子、すぐさま入部志願。ところがそのグラホ愛好会、毎日のように朝練あり、基礎練習はキツク、そのうえ競技内容はユニフォームの可愛さに反してまるで格闘技並み。何でこうなってしまったのかと後悔するものの後の祭り。元々桐子、スポ根体質でもありまして・・・。桐子に付き合って一緒に入部した翠と共に、激しいグラホの練習に日々を送ることになります。 冒頭こそ、お調子者の桐子&大食いでヤオイ小説大ファンの翠というデコボコ・コンビに、公立女子高の恥じらいの無さ暴露といったマンガチックな出だしはやはりコバルト的と思っていたのですが、グラホに関わる部分はどうしてどうして本格的スポーツ小説と言える、しっかりとした骨格に骨太なストーリィ展開を備えていて、充分満足。 ※桐子、翠らが通学する成女(なるじょ)は、須賀さんの母校である埼玉県立浦和第一女子高等学校がモデルで、登場人物もみなモデルがいるそうです。蕨、赤羽、埼京線といったローカルな駅名・線名を聞くとついくすぐったいような気分に駆られます。 |
「女子高サバイバル−純情可憐編−」 ★★ | |
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公立女子高、そのグラウンドホッケー愛好会を舞台にしたスポ根もの部活青春小説「女子高サバイバル」の続編。 本作品の魅力はグラウンドホッケーという格闘技並の競技の面白さと、登場人物たちの個性豊かで読み応えあるところ。 少々マンガチックなところはありますが、どの人物も個性がはっきりとしていて魅力十分です。 ついつい頑張ってしまうスポ根体質のキリコ(桐子)、大食いなのに運動面ではすこぶるタフ、それなのにほっそりとした美少女というスイ(翠)。スイ以上の美人なのにグラホにとても熱い要、その要の憧れの的なのか、それともレズ的恋愛相手なのか、グラホ有力選手であるマルガリータ女子大1年生の嘉川笙子という4人が前作における主要な登場人物。 上記4人に加えて続編では新たに、キリコとスイと同じ1年生である八重垣鳴海が登場します。 誰もが怖いという印象の通称“八重垣姫”に、あっけらかんとスイはグラホ同好会に誘います。 グラホ同好会の喫緊の課題はゴールキーパーの確保、キリコとスイが企んだどおり“姫(ちゃん)”をゴールキーパーに取り込めるのかどうか。展開はややスリリングです。 その姫ちゃんのキャラクターがまた楽しく、新たなメンバーが加わって成女グラホ愛好会はさらにパワーアップ。 愛好会の危機に直面したキリコたち、連敗続きだったマルガリータ中等科のグラホ部に対し初勝利なるのか? 激闘スポーツ&スポ根ものとして面白さたっぷり。 高校野球小説「雲は湧き、光あふれて」が決して唐突に誕生したものではないことが、本書を読んで得心できました。 |
須賀しのぶ作品のページ No.1