中島京子作品のページ No.3



21.うらはぐさ風土記 


【作家歴】、平成大家族、ハブテトルハブテトラン、エ/ン/ジ/ン、女中譚、小さいおうち、エルニーニョ、花桃実桃、東京観光、眺望絶佳、のろのろ歩け

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かたづの!、長いお別れ、彼女に関する十二章、ゴースト、樽とタタン、夢見る帝国図書館、キッドの運命、ムーンライト・イン、やさしい猫、オリーブの実るころ

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21.
「うらはぐさ風土記 ★★


うらはぐさ風土記

2024年03月
集英社

(1700円+税)



2024/03/30



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主人公は田ノ岡沙希、52歳
滞米生活30年、カリフォルニアの私立大学で日本語の教員をしていたもののその学科が廃止となり、離婚もしたことから、日本に帰国。
運よく母校の大学で講師の口を得て、伯父が老人ホームに入居して空き家となっていたその家を借りて一人暮らしをすることになります。大学にも近いとあって都合もいい。

武蔵野にある、その地区の古い名前が
“うらはぐさ”
※うらはぐさとは、イネ科の植物で「風知草」と言い、花言葉は<未来>。

伯父の家に住む始めた沙希は、思わぬ人たちと知り合いになり、親交を深めていきます。
伯父の家の庭を好きで世話していたという
秋葉原さん、沙希が「刺し子姫」という仇名をつけたその妻の真弓さん
また、ヘンな敬語を使う女子大生の
マーシーこと亀田マサミ。
(この敬語がヘン過ぎて、結構面白いです)
そして、子どもの頃に親しんだ<
あけび野商店街>に、沙希は今も親しみを感じます。
しかし、時代は変化しており、あけび野商店街も昔のままではいられないことが、沙希にも分かってきます。

なんと言ったら良いのでしょう。
古くても居心地がいい、人と人との付き合いにも、肩肘を張る必要のない温かさが感じられます。
時が進めば何かが変わっていくことも避けられない、でも残すべきものを残すことはできるのではないか、そんな前向きなメッセージを受け取ったように思います。


1.しのびよる胡瓜/2.山椒の赤い実/3.柿とビタミンC/4.スティルトンとメノポーズ/5.狼男と冬の庭/6.梅はやたらと長く咲く/7.エナガの巣/8.キョルギとチルギとテンバガー/9.うらはぐさの花言葉は

          

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