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11.イオニアの風 12.扉守 13.やさしい共犯、無欲な泥棒 |
【作家歴】、風の交響楽、時計を忘れて森へいこう、空にかざったおくりもの、ほしのおくりもの、遠い約束、十八の夏、星月夜の夢がたり、最後の願い、銀の犬、橋を渡るとき |
●「イオニアの風」● ★★☆ |
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ギリシア神話となれば、誰しも子供の頃一度は夢中になって読んだことがあるのではないでしょうか。 最初は、ギリシア神話の現代版かと軽く思っていたのですが、第二部になってから俄然ストーリィは面白くなります。 ストーリィは、大神ゼウスの盟友プロメテウスが、自ら作り上げた人間に誤って意思を与えてしまったことが始まり。 2人の愛と冒険の物語は、テレマコスの人間的成長の物語でもあります。またそれは、神々が人間に対し希望を抱けるかどうかを左右する選択の物語にも繋がっています。 最後、読み終えた時には、あー面白かった!の一言。 第一部 古の旅路/幕間/第二部 新たな旅立ち |
●「扉
守(とびらもり)−潮ノ道の旅人−」● ★★☆ 広島本大賞 |
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山と海に挟まれた坂道の多い町、潮ノ道。 いいなぁ、この短篇集。 「あとがき」で光原さん、<潮ノ道ファンタジー>というべきシリーズを一応意識していると述べられています。 「帰去来の井戸」:その水を飲めば必ずもう一度潮ノ道に戻ってこれるという“帰去来の井戸”をめぐる物語。 帰去来の井戸/天の音、地の声/扉守/桜絵師/写想家/旅の編み人/ピアニシモより小さな祈り |
「やさしい共犯、無欲な泥棒−珠玉短篇集−」 ★★ | |
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昨年8月に逝去された光原さんの、追悼短篇集。 単行本未収録の短篇を収録。 もちろん全てを収録できている訳ではありませんが、ミステリあるいはファンタジーな短篇小説、尾道大学で学生たちと年一回刊行し続けてきた<尾道草紙>に掲載した2篇、あとがきに代えて初期作品「風の交響楽」からの1篇と、光原百合さんらしさを様々に味わえる短篇集になっています。 その意味で、「珠玉短篇集」という副題は納得できます。、 冒頭「黄昏飛行」は、実業之日本社文庫のアンソロジー「エール!2」に収録されていた短篇。 「やさしい共犯」と「無欲な泥棒−関ミス連始末記」は、「遠い約束」に連なる浪速大学ミステリ研究会の吉野桜子を主人公とするシリーズの2篇。 尾道草紙からの2篇、「花吹雪」と「弥生尽の約束」は、何とも美しく、素敵な掌篇です。 また「何もできない魔法使い」、好いですよねぇ。 全篇を通して改めて感じることは、どれも優しさに満ちていること。 機会を見つけて、「風の交響楽」「時計を忘れて森へいこう」を是非再読しようと思います。 第一部 潮ノ道の物語 黄昏飛行/黄昏飛行−涙の理由/不通 第二部 短篇の名手 花散る夜に/やさしい共犯/無欲な泥棒−関ミス連始末記 第三部 尾道草紙 花吹雪/弥生尽の約束 あとがきにかえて:何もできない魔法使い 年譜/光原百合作品リスト 光原百合さんのこと−有栖川有栖 |