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「青い鳥、飛んだ」 ★★ |
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実際にやった人間は大した行為じゃないと思うのかもしれませんが、万引きはれっきとした犯罪。 その万引きによって、人生が大きく狂ってしまった3人の男女を描くストーリー。 児童養護施設暮らしの高校生だったM、ふとしたことから万引きの常習者に。しかし、コンビニ店長に見つかって捕まり、「常習者だから厳重な処罰を」と告げられてしまったため、高校は退学となり、児童自立支援施設へ移る。 一方、そのコンビニ店長の柳田克己は万引き犯人を敵視、中年男の万引き犯人を捕えようとして相手を死なせてしまい、有罪判決を受けて犯罪者となり、家庭も仕事も崩壊。 万引きという犯罪がきっかけで大きなハンデを負ってしまった2人ですが、あがきながら自分の道を進もうとしている。 しかし、Mがある事件の被害者となったことで、2人は再び出会うことになります。 そしてもう一人、柳田の事件で父親、そして母親を難病で亡くした高橋真人も児童養護施設育ち、施設を出た後の死後ともうまくいかず、何もかも柳田克己の所為と、復讐の念を抱きます。 それまでごく普通の人であったのに、犯罪者となったことで大きな線を引かれてしまう。 その辛さ、後悔は、佐藤正午「熟柿」でも深く感じましたが、本作においても変わりありません。 主人公たちの身を思うと、胸の詰まる思いがします。 口幅ったいことですが、そのどん底からどう仕切り直すか、再生に向けてどう足を踏み出すか、が大切なことでしょう。 消えることのない<前科>とは過酷なものです。でもそれに負けずに幸せになれる道を見つけてほしい、心からそう思います。 プロローグ/第1章〜第4章/エピローグ |