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1.御宿かわせみ 4.五人女捕物くらべ 5.南総里見八犬伝 6.魚の棲む城 |
●「御宿かわせみ」● ★ |
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2004年03月
1992/10/18 |
人気の高い“御宿かわせみ”シリーズの第1作。 一応は読んでおこうかと、読んだ次第。 江戸情緒という点では池波正太郎作品に比べ物足りない思いがありますが、真に女性作家らしい作品。 ※本シリーズ既読作品 |
●「はやぶさ新八御用帳(一)・大奥の恋人」● ★★ |
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1992年11月
1993/09/19 |
面白かった。良い恋愛小説を読了した後のような味わいが残ります。この後味は、平岩作品の特徴かもしれません。 「御宿かわせみ」は一応捕物帳ですが、捕物帳の面白さよりむしろ主人公と船宿のおかみ・るいとの恋人関係に魅力がある、といったシリーズ。それに対し、本シリーズは本格的推理小説の面白さが魅力。 もっとも第1作目の本書は、新八とお鯉との恋も大きな見所となっています。 隼新八郎は南町奉行の内与力。その隼家に女中奉公していたのがお鯉。 ※NHK金曜時代劇では、新八が高島正伸、お鯉が有森也実という配役。この有森也実さんも私の好きな女優の一人です。 |
●「はやぶさ新八御用帳(ニ)・江戸の海賊」● ★★ |
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1993年09月 |
この“はやぶさ新八御用帳”シリーズ、「大奥の恋人」といい本作品といい、思っていた以上に面白い。 時代小説ではあっても謎解きというミステリ本来の筋立てがしっかり守られていて、本格的推理小説といって何の遜色もありません。 また、本書については“江戸の海賊”という題名自体、何だそれは?と惹きつけられます。その発想もなかなか豊かです。 女性作家作品かつ時代小説というと軽く考えてしまうかもしれませんが、安易に考えていると評価を誤る作品です。 ※本シリーズ既読作品 |
●「南総里見八犬伝」● ★ |
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「南総里見八犬伝」といえば、今更言うまでもなく滝沢馬琴によって書かれた江戸時代の作品ですが、私にとってはTVでの思い出のほうが深い。 最初はTVの連続時代劇ドラマ、次いで辻村ジュサブローさんのNHK連続人形劇。特に後者については熱中して観ていました。 物語に熱中したからにはさあ次は原作を!といきたいところですが、そう簡単に手が出せる原作でもない。 一度は本で読んでみたいとずっと思っていたところに出たのがこの本、すぐ飛びつきました。あの大作を一冊で読めてしまうのですから、怠け者には有り難い作品です。 ストーリィを大まかに言ってしまうと、かつて処刑した女の怨霊に祟られた里見藩の危機を、伏姫の子(?)の八犬士がうち揃って救うという伝奇小説。 以下は主な登場人物ですが、物語の最初に登場するのは、 まずはこの作品のおかげで、一通りのストーリィを知ることができました。 ※なおこの作品は、人と犬との獣姦小説と見る向きも途絶えず、春画に「佐世姫」として描かれたり、話題に事欠かない作品だったようです。 |
●「五人女捕物くらべ」● ★☆ |
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1997年06月
1994/05/29 |
正体不明の若侍+若い娘のコンビによる捕物帳。 5人の若い娘が入れ替わり主人公の若侍とコンビを組んで事件を解決する、連作短篇ものとうその構成に、いとも簡単に惹きつけられました。 5人の若い娘は、売れっ妓の太公望おせん、大店の一人娘でかつ女主人である琉球屋おまん、女役者の七化けおさん、猫調教の家柄である猫姫おなつ、住職の養女である花和尚お七と、キャラクターも多彩。 |
●「魚の棲む城」● ★★ |
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2004年10月 2025年01月
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第10代将軍・家治の時代に、側用人・老中として幕府財政の建て直しに挑んだ田沼意次を主人公とする歴史長篇。 この田沼意次、これまで「賄賂政治」とか言われて必ずしも評判は良くない。ただそれは、田沼時代の後に幕府の実権を握った松平定信が、ことごとく意次の反対政策を行ううえで、ことさらに意次を貶めた所為ではないか。その観点から、田沼意次を再評価する向きもあるようです。 本書はその田沼意次を、凛々しく、爽やかな人物として描き出しています。ただし、本書の魅力はその新しい意次像だけでなく、意次に2人の幼馴染を配した点にあります。 秀でた先見性に基づく重商主義政策、外国貿易に対する開放政策等、意次のとった政策を知るだけでも結構面白い。 なお、本書題名は、海の向こうから様々な魚が入ってこれるような場所を作りたいという、意次の願いを表わしたもの。 |