花形みつる作品のページNo.2



11.落窪物語


【作家歴】、ドラゴンといっしょ、サイターなあいつ、ぎりぎりトライアングル、アート少女−根岸節子とゆかいな仲間たち−、遠まわりして遊びに行こう、君の夜を抱きしめる、おひさまへんにブルー、しばしとどめん北斎羽衣、Go Forward!、徳治郎のボク

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11.
「落窪物語−かわいそうな姫君と勇敢な侍女の友情と冒険− ★★


落窪物語

2022年01月
偕成社

(1500円+税)



2022/02/20



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私は全く知らなかったのですが、古典文学の世界にシンデレラそっくりの物語があったとは!
それはつまり、継母による美しい継娘イジメは昔からよくあることだった、ということでしょうか。

ただし、本作で主人公になるのは、継母から粗末な部屋に押し込まれ
「落窪の宮」と揶揄される当の姫君ではなく、姫君と一緒に育った幼馴染で、今は姫君のために奮闘する侍女のあこぎ

姫君をなんとか助けたい・・・そのエネルギーの源は姫君が大好きだという思いに尽きるのですから、好感大!
継母=
北の方による度々の仕打ち&悪計は限りなく、それによって姫君が陥る苦境・危機を、その都度あこぎが獅子奮迅の活躍を見せて姫君を救うのですから、真にサスペンスフルで楽しい、そして痛快。

シンデレラ物語においてシンデレラを救い出したのは魔法使いと王子様。本作でも、姫君の夫となる
<右近の少将>道頼の存在は重要ですが、最大の貢献者は侍女のあこぎ、と言って差支えありません。
あこぎとその夫である
惟成との、また同僚である少納言とのやりとり等々、展開が現代的で面白いのですから、古典の衣装を纏った現代恋愛サスペンス、と言って良いのではないでしょうか。
※ただし、道頼による北の方への復讐は、ちとやり過ぎではないかと思いますが。

なお、
「あこぎのワンポイントレッスン」と題された、当時の習俗、貴族の階級などを分かりやすく説明した吹き出しが43項目、これが平安時代を知るのに役立ちます。
中高生にとっては、古典世界への良き案内書になるだろうと思います。


1.ひめさまの幸せはわたしの幸せ/2.この恋、あたしがなんとかする!/3.少将、男の本気を見せてくれ/4.いじわる女が帰ってきた/5.惟成、大失態/6.嵐のまえのしずけさ〜/7.最大のピンチ/8.絶体絶命/9.北の方の陰謀/10.救出/11.リベンジがはじまる/12.ひめさまのゆううつ/13.終わりよければすべてよし/あとがき

        

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