コニー・ウィリス作品のページ


Connie Willis  1945年米国コロラド州デンバー生、ノーザン・コロラド大学卒。SF作家。ヒューゴー賞を11回、ネビュラ賞を 7回、ローカス賞を11回受賞。

 


             

「クロストーク」 ★★★
 原題:"CROSSTALK" 
    訳:大森望


クロストーク

2016年発表

2018年12月
早川書房刊

(2700円+税)



2019/02/19



amazon.co.jp

面白いという書評を読んでも、本当かともう一つ疑心暗鬼だったのですが、これは本当に面白い! いやあ、驚きました。

主人公は、携帯電話メーカーに勤める
ブリディ・フラニガン
女性社員からの人気が高い
トレント・ワースと恋人関係になったばかり。そのトレントから、お互いの気持ちをダイレクトに伝え合うことができるようになる画期的な脳手術EEDを一緒に受けようと言われ、舞い上がります。
ところが、素敵と励ましてくれる女性同僚もいれば、家族からは反対意見ばかり。そのうえ、会社内で変人と評されている
C・B・シュウォーツからも、手術を受けるのは危険だと、執拗に忠告されます。
結局、トレントに急かされるようにしてEED手術を共に受けたブリディでしたが、テレパシーが繋がった相手は、トレントではなく、何と・・・・。
テレパシーが繋がるためにはお互いの間に気持ちの繋がりが不可欠と言われていたブリディ、別の男性に繋がったことがトレントに知られたら大変と、恐怖心だけでなくその不安も大。

そこからどうストーリィは展開していくのか。それを語ってしまってはネタバレもの。
敢えて伝えると、ひとつのトラブルがクリアできたと安心していると、次にさらに大きなトラブルがブリディを待ち構えているという展開。
見知らぬ部屋に入ってやっと落ち着き、次の扉を開けたらもっととんでもない事態が待ち構えている。そのパターンが何度も繰り返され、その度に面白さ、そのスケールともグレードアップしていく、という具合。
いやあ、面白いという以外に、他の言葉などありません。

9歳の娘
メイヴのことを心配してやたらとブリディに頼みごとをしてくる姉メアリ・クレア、男性との交際につき何かと相談を持ち掛けてくる妹キャスリーン等々、家族の騒がしさも相当なもので、ブリディのパニックぶりが真に迫って共感されます。

テレパシー能力の開眼?という以外は、SNSやiPhoneが日常的となっている、現代とさして変わらぬ世界。テレパシー問題だけでこれほど面白い近未来SFストーリィを創り出すなんて、作者のコニー・ウィリスには全く脱帽です。
ポケットミステリ版で 700頁余と大部ですが、是非お薦め!

     


   

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