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2.不思議な少年 |
(
補足 ) |
●「ハックルベリー・フィンの冒険」● ★★★ |
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1976年9月 新潮文庫
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子供の頃からの愛読書のひとつです。 「トム」にて金持ちとなり、ワトソン未亡人に引き取られたハック・フィンでしたが、酒乱の父親に再び連れ出され、元の生活へ。しかし、隙を見て逃げ出したところで、やはり逃げ出してきた黒人奴隷ジムと出会います。そして2人は、広大なミシシッピ川を筏で下る旅に乗り出します。 ミシシッピ川を筏で下るというストーリィも魅力ですが、最大の魅力は、ハックの少年像にあります。冒頭で、慣れぬきちんとした生活に汲々としていた彼の姿は、落ち零れ少年というものですが、ミシシッピの大自然の中に身を置いたハックの姿はまるで違います。筏の上のハックには、自然のままの生活への愛情と、規則に縛られない朗らかな精神を感じます。 ハックとジムは、言わば社会のアウトサイダー。本書は、この2人の文明社会に対する観察、批判のストーリィとも言えます。 ※本作品に登場する2人の詐欺師、自称「王様」と「公爵」が騙るディビッド・ギャリック、エドマンド・キーンは、実在するシェイクスピア劇の名優です。 |
●「不思議な少年」● ★★ |
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1916年発表 1976年9月 岩波文庫 1978/12/05 |
トウェインは、晩年ペシズムに陥り、作品にもそうした影響が強くなりました。この「不思議な少年」はその代表的作品と言えます。 人間は善という存在にはほど遠い。他の獣以上に、残酷な忌むべき存在であるという考えに至ったのは、トウェイン以外に、マルキ・ド・サドも然りです。ただ、サドがそうした人間の悪の面を直視し、事実として捉えているのに対して、トウェインの場合はそこまで開き直ってはいないようです。実際、本書においても、トウェイン独自のユーモア感やメルヘン的な部分は、残されているのです。 トウェインの「ハドリバーグを堕落させた男」にしても、内容をじっくり考えてみると、非常に深刻なものではありますが、最後の部分には大笑いするような場面もあるし、ユーモア感覚も失われているわけではありません。むしろ、人間の現実的な悪の面、その他諸々のことを見出し、苦悩し、悲観しようとも、過去におけるトウェインの明朗さ、ユーモアが捨て去られてはいないのです。 |
●「マーク・トウェイン自伝」●
★★ |
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1924年発表 ちくま文庫 1990/02/25 |
(上巻読み始め) (下巻読書中) 第22章「百発百中成功する就職の秘訣」は愉快です。 下巻では、トウェインが立身を遂げた後のエピソードが多くなります。失敗しても懲りることのない投機癖。そのくせ、ベルの電話事業への株投資を見送ってしまい、大儲けし損なったこと等。 |