ホリー・ゴールドバーグ・スローン作品のページ


Holly Goldberg Sloan  1958年米国ミシガン州生。映画の脚本、監督等を手がける。

 


                          

「マンチキンの夏 ★★
 原題:"Short"
            訳:三辺律子


マンチキンの夏

20?年発表

2022年03月
小学館

(1600円+税)



2022/04/19



amazon.co.jp

題名の「マンチキン」とは、ライマン・フランク・ボーム「オズの魔法使い」シリーズに登場する小人国および小人たちの名前だそうです。

夏休み、地元の大学では「オズの魔法使い」を上演することになり、主人公の
ジュリアとその弟は母親の勧めでオーディションを受けたところ見事合格、マンチキン役に採用されます。
芝居は、プロの舞台監督、プロの役者も参加する本格的なもの。
さて、ジュリアのこの夏はどんなものになるのでしょうか。

12歳のジュリアにとっては驚くことばかり、ワクワクする気分が伝わってきます。
舞台監督の
ショーン・バーや、パートナーとなったプロの役者であるオリーヴと触れ合って知り、学ぶことが沢山あります。
さらに近所の住む
チャンさん、変わり者のおばあさんと認識していただけなのですが、思いも寄らなかったチャンさんの実像に驚かされます。

驚くことや新しく知ることだけのストーリィではありません。
いろいろな人たちが抱える想いを知ったり、自分の気持ちに向かい合ったり、それによってジュリアが成長するストーリィとなっています。
12歳の少女の視点から描かれていることが本作の魅力です。

ハツラツとして素直な気持ちが吐露されている、そこにはジュリアの身勝手な気持ちや偏見が混じることもありましたが、自ら反省したりと、ジュリアの成長がストレートに感じられます。
この夏、ジュリアにとってはどんなに楽しく忘れ難いものになったことでしょう。
本作を読んでいるだけで、そのことがとても嬉しい。

ひと夏の少女の体験&成長記として、逸品です。


1.ラモン/2.オーディション/3.マンチキン/4.スクラップブック/5.稽古一日目/6.二日目/7.ショーン・バーとはしご/8.ショーン・バーの手紙9.チャンさんの庭//10.マンチキンのくつ/11.リードダンサー/12.オリーヴとアイスクリーム/13.配役/14.空飛ぶサル/15.衣装デザイン/16.ティムお兄ちゃん/17.ブリンクマン先生/18.チャンさんの条件/19.いちばんの問い/20.役者がそろう/21.アヒル/22.チャンさん、飛ぶ/23.カヌー/24.旅立つ/25.身長のこと/26.初日/27.幕が上がる/28.ブロック・パット/29.あとは、楽しむ番/30.ショーン・バーのノート

               


    

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