フェルディナンド・フォン・シーラッハ作品のページ


Ferdinand von Schirach 1964年ドイツ・ミュンヘン生。作家、弁護士。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。94年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍。処女作「犯罪」にてグライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞。

 


                

「禁 忌」 ★☆
 
原題:"Tabu"       訳:酒寄進一




2013年発表

2015年01月
東京創元社刊

(1700円+税)

 


2016/06/16

 


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主人公であるゼバスチャン・フォン・エッシンブルクは、ドイツの地方名家の生まれ。文字のひとつひとつに色を感じる特異な感覚の持ち主で、長じて写真家として成功。
しかし、ある日、若い女性を誘拐して殺害した容疑で逮捕され、刑事に脅されて自供したことから、被害者が発見されないまま起訴されます。
ゼバスチャンの敏腕弁護士となった
ビーグラー、ゼバスチャンの言動に戸惑うことも。
果たしてゼバスチャンは犯人なのかどうか、そして判決は有罪か無罪か。

前半はゼバスチャンの半生が語られ、後半でゼバスチャンが逮捕され、裁判に至るという2部構成。
前半の面白さは後半のスリルを盛り上げるためだったのでしょうか。後半、どういう結末を迎えるのかまるで見当がつかないストーリィです。

しかし、読み終わり振り返ってみると、まるで理解できず。
特異な感覚の持ち主という点がどうストーリィに関わっていたのか? 結局事件はゼバスチャン自身による○○○○さながらといった具合ですが、彼の目的は一体何処にあったのか。題名の意味さえ不明です。

人が人の罪を追求することの難しさ、危うさ、驕りを浮かび上がらせることが本書の狙いであったのではないかと思うのですが、その通りであるかどうかは余り自信持てず。

緑/赤/青/白

          


      

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