クリスマス・ストーリィの一冊。
今日一日の通勤の往復時間で読み終わってしまう、ごく薄い本ですが、その内容に、懐かしさとともに実り多いものを感じます。
ストーリイは、毎年ニューヨークのロックフェラー・センターに飾るクリスマス・ツリーを探し歩く男と、そのクリスマス・ツリーにふさわしい木に深い関わりをもっている修道女との、交流の話。
彼らの心の通い合いは、ある木が中心となっているのですが、その心の動きからいうと、スピリ「ハイジ」の、現代かつ成人向け版と言えるでしょう。ハイジがお祖父さんの家の前できくモミの音、そんなふうに木と語り合ってきた二人だから生まれた友情と思います。
その木のある修道院は、現代社会から隔絶したような、こんなところがあると知るだけで幸せに感じられるような場所。そのなかに織り込まれている画がなんとも可愛いらしく、また美しく、それだけでも嬉しくなってきます。
そして、シスターの言葉、その父親が語ったという言葉、すてきな言葉です。それをここで書いてしまうと、これから読む人の喜びを奪ってしまうので、省略することにします。
私にとって、この一冊を読めただけで、すてきなクリスマスとなりました。
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