エドモン・ロスタン作品のページ


Edmond Rostand 1868〜1918 フランスの劇作家。17世紀フランスに実在した作家を主人公にすえた5幕の韻文劇「シラノ・ド・ベルジュラック」にてより名声を得る。

 


 

●「シラノ・ド・ベルジュラック」● ★★★




1897年発表

1951年07月
岩波文庫刊

第51刷
1992年01月
(553円+税)


1992/03/23


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本戯曲は、シラノが従妹ロクサーヌに寄せる愛の深さを、薫り高く謳った5幕劇です。不朽の名作というに相応しい傑作。
読んで痛快無比であり、読了後には心晴々とする作品です。
最終場面、死に行くシラノの最後の一言はとにかく絶品! 忘れ難く、いつまでも胸の中に抱えていたいセリフです。

主人公シラノは、詩人で軍人、しかも天下無双の剣客ですが、大鼻の持ち主で美男とは言いかねる人物。
そのシラノが深く愛を捧げていたのは従妹である美女ロクサーヌなのですが、あろうことかそのロクサーヌからガスコン隊の同僚クリスチャンとの仲を取り持って欲しいと頼まれる羽目になります。それから始まるシラノの2人を取り持つための奮闘が、本戯曲の中心ストーリィです。

貧乏零落、不運な死という結末。しかし、それに勝る自由奔放な生き方、限りのない心の躍動、拡がり、そして“羽根飾り(こころいき)は、シラノを不朽の文学的英雄になさしめています。

フランスの新聞が文学的英雄の投票を行ったところ、ジャン・バルジャン、ダルタニャンを凌いでシラノが第一位だったそうですが、 それもまた当然と納得できます。
とにかく、シラノの言葉の無尽蔵さは、まさに詩人に相応しく、読んでいて楽しいばかりです。

実在のシラノは1619年パリ生まれ。詩人であり、剣客としても無双の遣い手であったそうです。登場人物もまた多く実在していたらしい。
しかし、シラノが本戯曲において魅力ある人物になりえたのは、やはりロスタンの創作に負うところが大きいようです。

 


 

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